河川感潮域の流動特性に基づく設計水位について
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概要
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河川感潮域では異常時には,河川流と海起源のじょう乱(潮汐,高潮,津波,波浪など)との間に強い非線形相互作用が働くことが示される.それゆえ設計水位の予測に当たっては,この流動特性を十分に考慮することが重要である.しかし現行の技術基準による予測方法では,計画される新しい条件下に生じる上記の相互作用を適切に取り入れることが困難であり,また河川流量と河口水位の整合性も保たれないことを指摘する.それに代えて,計算領域を河川の影響の及ばない海域にまで広げ,運動を支配する基礎方程式に基づいて非定常計算をする必要があることを述べる.なお津波予測の場合には,河川の地形条件と津波周期によっては感潮域に共振が生じ,津波が河川内部で発達することがあることに注意を喚起する.波浪予測に関しては,河川内では高潮や洪水に伴う強い流れと波との相互作用が顕著であるので,この効果を取り入れることが必要と考えられる.
- 1997-02-28
著者
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