ウエハ表面へのエアロゾル粒子の付着 : 理論的検討

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VLSI製造工程で使用されるクリーンルームでは,制御すべき最小のエアロゾル粒子の大きさは,最小線幅の1/10であると一般に言われている.そこで,4MDRAM製造工程では,0.1μm以下の大きさの粒子まで制御しなければならない.スーパークリーンルーム内では,オペレータやロボットや種々の装置からエアロゾル粒子が発生する.このような内部発じん(塵)粒子の大きさは,0.1μm以下から数十ミクロンまでにも及び,ウエハ表面に付着するとVLSIの歩留り低下の原因となる.最近,半導体業界では,エアロゾル粒子の挙動と,表面の粒子汚染の機構に大きな関心が寄せられており,その方面の研究も盛んになりつつある.現実の半導体製造工程では,ウエハ表面は種々のプロセスステップにおいて導体や誘電体となり,クリーンルーム内のウエハ表面電位は,4kVにまで達するという測定例が報告されている.本報では,クリーンルーム内のウエハ表面へのエアロゾル粒子の沈着に関する理論解析の結果を報告する.解析結果は次のとおりである.1)静電気力がブラウン拡散と比較して沈着に支配的な場合,沈着速度は流れの状態(流速,境界層形状,レイノルズ数など)に影響されず,粒子の荷電量とウエハ表面の電界強度に依存する.2)粒子の帯電量が最も少ない状態と考えられる平衡帯電量分布に従う場合,サブミクロン以下の小さい粒子については,ウエハの表面電位をおよそ100V以下にしなければ,静電気力による沈着速度をブラウン拡散による沈着速度より小さくできない.3)表面が導体および誘導体(一様に電荷が分布していると近似)のウエハに対する静電気による粒子の平均沈着速度は次式で求められる.υ_e=(Const.×C_cN_peV)/(6πμD_pR)ここで,導体表面ではConst.=2.55,誘電体表面ではConst.=2.36である.C_cはカニンガムの補正項,N_pは粒子の荷電数,e(=1.602×10^<-19>C)は基本電荷量,Vはウエハ表面電位,μは空気の粘度,D_pは粒子の直径,Rはウエハの半径を表す.以上の結果から,ウエハ表面を静電気的に中和し,表面上の電界強度を小さくすることにより,ウエハ表面への微粒子沈着を著しく減少できることが明らかになった.
1989-06-25

ウエハ表面へのエアロゾル粒子の付着 : 理論的検討

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