中央アジア産スカシバガの新種と希少種(鱗翅目,スカシバガ科)
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概要
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本報では,中央アジア産のスカシバガ科のBembecia属の2新種と希少種Synanthedon tosevskii Spatenkaをキルギスタンよりはじめて記録し, Bembecia wagneri (Pungeler)を再記載した. Synanthedon tosevskii Spatenka, 1987ウズベキスタンからのみ知られていたが,新たにキルギスタンより,ヨーロッパ産のSynanthedon spuleri (Fuchs, 1908)に誘引性をしめすフェロモンに飛来した4♂を記録した. Fig.23はその生息地である. Bembecia martensi n. sp.(Figs 1-5,14-16)本種はBembecia zebo Spatenka & Gorbunov (Figs 18-19)に酷似するが,頭部が黄色がかったオレンジ色で, B. zeboではうすい黄色である.さらにB. zuvandica Gorbunovに似るが,胸部と腹部がうすい黄色であるのに対して,本種は黄色がかったオレンジ色である.幼虫はマメ科の草本のOnobrychis chorassanicaの根に潜っている. Bembecia zonsteini n. sp.(Figs 6-9,17)本種も, Bembecia zebo (Figs 18ー19)に良く似ているが,前翅,胸部および腹部の色彩が異なる.前種Bembecia martensiでは黄色がかったオレンジ色であるのに対して,本種では黄色からうすい黄色である.本種はヨーロッパ産Synanthedon andrenaeforme (Laspeyres, 1801)に誘引性をしめすフェロモンに飛来した.食草や生態は不明である. Fig.23は生息地である. Bembecia wagneri (Pungeler, 1912)(Figs 10-13,20-22)本種は産地名のない1♂とカザフスタンのイリ河(Fig.24)で採集された1♀で記戴された.今回ヨーロッパ産のSynanthedon culiciforme (Linnaeus, 1758)に誘引性をしめすフェロモンに飛来した66♂と野外で2♀を採集し,再記載した.新しい蛹の脱皮がらをマメ科の草本であるGlycyrhiza glabraの根より見いだした.この植物が食草であるのは間違いない. Figs 24-25は生息地である.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1994-10-30
著者
-
GORBUNOV Oleg
Institute for Problems of Ecology & Evolution, Russian Academy of Sciences
-
Gorbunov Oleg
Institute Of Evolutionary Morphology And Ecology Of Animals Russian Academy Of Sciences:zoological L
-
Gorbunov Oleg
Institute For Problem Of Ecology And Evolution Russian Academy Of Sciences
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