Aletia lucbana CALORAの雄のフィリピンからの発見
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概要
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Aletia lucbana CALORAは1966年にフィリピンより3雌に基づいて記載されたが,雄はこれまで未発見であった.ところが1985年大和田守博士によってフィリピンから採集された1雄は本種であることがわかったので雄交尾器の記載を行い,近縁種との差異を述べた.雌交尾器,特にcervix bursaeの形態からA.lucbanaはA.formosana BUTLER,A.aroroyensis CALORA,A.semicana(PAGENSTECHER)に近縁だと考えられる.このうちニューギニア東部の島嶼に分布するsemicanaとフィリピンのルソン島からのみ記録されているlucbanaはこれまで雄が知られていなかった.雄交尾器ではformosanaとlucbanaはcucullusの背方に突起を有するがaroroyensisではこれを欠く.この突起はformosanaでは棒状だが,lucbanaではとげ状となる.またlucbanaはvesicaが長いこと,より長いcornutusを持つことなどでformosanaと区別できる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1990-03-20
著者
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吉松 慎一
Natural Resources Inventory Center National Institute For Agro-environmental Sciences
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吉松 慎一
Laboratory of Insect Systematics, National Institute of Agro-Environmental Sciences
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