Leucania striata LEECH(スジシロキヨトウ)と1新種を含む近縁種の分類学的研究
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概要
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Leucania striataはLEECH(1900)により,日本(Japan)と琉球(Loochoo)の16個体に基づいて記載された.ところが,いわゆるL.striataとされてきたものには,実は2種が混同されていることが判明した.これら2種は,外見的には全く差異がなく,雌雄交尾器によってしか区別できない.筆者は手元にある100個体余りの標本を解剖し,1種は屋久島を南限とし九州から本州にかけて分布するのに対し,他の1種は台湾を南限とした分布をしていることを明らかにした.この2種の雌雄交尾器の図を大英博物館のHOLLOWAY博士の元へ送ったところ,大英博物館には"Japan"とラベルされたL.striata7個体が存在し,そのうち"type"とラベルされた雌雄各1個体が解剖されており,この雌雄2個体とも筆者の送ったうちの1種と合致することが判明した.そこで大英博物館所蔵の解剖された1♂をL.striataのlectotypeとして指定した(BM noctuid genitalia slide no. 569).そして,台湾,九州,四国,本州で採集された他の1種を新種Leucania substriata YOSHIMATSUニセスジシロキヨトウ(新称)として記載した.またL.insecuta WALKERは以上の2種に類似しているので,併せてこれら3種の形態的差異と分布を述べた.1.分布:insecutaは本州,北海道,国外では中国に分布し,striataは屋久島を南限として九州,本州で採集されており,substriataは台湾,沖縄,奄美大島,屋久島,九州,四国,本州の一部で採集されている.2.翅:前翅外横線はinsecutaでは通常1列の黒点列なのに対しsubstriataとstriataでは通常2列の黒点列で表される.3.雄交尾器:Tegumen背側方部は前方より見るとinsecutaではほぼ直角をなす.Saccusは側方より見るとinsecutaでは卵形.Harpeはsubstriataでは最も大きく,harpe基部はinsecutaでよく発達する.Vesicaはstriata, substriata, insecutaの順に長い.4.雌交尾器:Cervix bursaeはinsecutaではほぼまっすぐなのに対し,他の2種では巻いている.Cervix bursaeの基部はsubstriataでは幅広く,ductus bursaeの左側方に付着するのに対し,striataではcervix bursaeの基部はductus bursaeの左背側方に付着する.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1987-07-20
著者
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吉松 慎一
Natural Resources Inventory Center National Institute For Agro-environmental Sciences
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吉松 慎一
Laboratory of Insect Systematics, National Institute of Agro-Environmental Sciences
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