ビアトリクス・ポターの世界
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概要
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ヴィクトリア時代の上層中流階級の子どもとして育ったビアトリクス・ポターは,家庭教師がその教育を受け持ち,学校に行かなかった為,同年代の友達もいない生活であった。その様な寂しい暮らしの中で,絵を描き,小動物と触れ合い,ロンドン郊外の祖父母の家や,家族で行く避暑地の自然に心惹かれ,後に動物が主人公のファンタジーを生み出すこととなる。独立心旺盛なピーター・ラビット等,数々の動物を童話の主人公として描き出した。ピーターには,制限された実生活で彼女が成し得なかったことを託したものと思われる。ポターの絵は,博物学者の正確な観察力を見せ,動物達があたかも人間模様を描くかの様な文章と補い合って,珠玉の名品を生み出した。1890年にポターは,ウサギを描いた自分の絵を出版社に売ることに成功し,自信を得て,童話を出版することを思い付いた。その後,次々成功する出版の利益は,彼女が愛した湖水地方の土地を買うことに充てられ,ナショナル・トラスト運動の創始者の一人,ハードウィック・ローンズリーの影響もあり,自然保護運動の協力者として大いに貢献した。47歳で結婚してからは,作家活動から遠のき,羊を育てながら,農民として暮らした。動物や周囲の自然を描く作家としての生涯を経て,彼女は,農民として,自然保護者として生きる理想を実現した。
- 2010-09-17
著者
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