日本からのFaristenia属の2新種(鱗翅目,キバガ科)
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概要
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Faristenia属は著者の1人Ponomarenkoによって1991年に設立された属で,主に旧北区に分布し,これまでに22種が記録されている.日本からの本属の記録は断片的になされたにすぎず,これまでに5種が記録されているにすぎない.今回,著者らが日本産の標本を検討した結果,Faristenia属に属する次の2新種が見いだされた.それぞれの特徴は以下のとおりである.Faristenia kanazawai sp.n.(Figs 1,3)ニセクロモンノコメキバガ前翅地色は白色で前縁を除き広く暗灰色鱗を散布する.前翅前縁に5つの黒色紋を持ち,中央のものが最大となる.外部形態ではクロモンノコメキバガ(Faristenia geminisignella Ponomarenko,1991)に似るが,前翅襞上に長楕円の黒色紋が存在しないことによって識別できる.雄交尾器ではvalvella外側面が腹面側に延び,三角形のプレートとなることで識別は容易である.雌および幼虫期は不明である.Faristenia mukurossivora sp.n.(Figs 2,4-6)ムクロジハオリノコメキバガ前翅が暗褐灰色であることから,他種との区別は容易である.雄交尾器ではvalva先端部が背方に半円形に広がり,棘を装うことから他種との区別は容易である.雌では,腹部第6節と7節の間の膜質部に硬化した部分が認められることから他種との識別が可能である.幼虫はムクロジを寄主植物とする.
- 2000-03-31
著者
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Ponomarenko Margarita
Institute Of Biology And Soil Science Of Far Eastern Branch Of Russian Academy Of Sciences
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Ponomarenko Margarita
Institute Of Biology And Pedology Far Eastern Branch Of Russian Academy Of Sciences
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上田 達也
Chiiki-Kankyo-Keikaku Co.
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上田 達也
Entomological Laboratory The Graduate School Of Agriculture And Biological Sciences Osaka Prefecture
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