クロバイを寄主植物とするThiotricha属の1新種(鱗翅目,キバガ科)
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概要
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大阪府北部で初春にクロバイの花芽にポータブルケースを背負った小蛾類の幼虫を発見し,飼育した結果,キバガ科のThiotricha属に所属する新種であることが判明したので成虫,幼虫,蛹の記載を行うとともに,簡単な生活史も記載した.また,日本産Polyhymno属の種についての周辺国の研究者に従いThiotricha属として扱うことを提案し,日本産Thiotricha属のチェックリストを付与した.Thiotricha prunifolivora sp.n.クロバイキバガ(新称) 前翅長♂,3.0-4.5mm;♀,4.7-5.0mm.頭部,胸部,前翅は光沢のある白色で,前翅後角に茶褐色斑をもち,その上縁から翅頂に向かう茶褐色の斜帯をもつ.日本産の他種とは著しく小さいサイズと前翅の斑紋から識別は容易である.分布:本州,琉球,寄主植物:クロバイ(ハイノキ科).生活史:年3化.越冬世代幼虫はクロバイの花芽や腋芽に潜り,内部を食い尽くした後,花芽をケースとして背負い,他の花芽に移動する.第1化幼虫は実生に潜り,これをポータブルケースとして利用する.第2化幼虫は最初実生に潜り,これをポータブルケースとした後,葉の裏面に移り,丸い穴を開けるように摂食する.蛹化はケース内で起こり,羽化の際,蛹がケースからせり出す.幼虫で越冬する.
- 2005-01-01
著者
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上田 達也
Chiiki-Kankyo-Keikaku Co.
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上田 達也
Entomological Laboratory The Graduate School Of Agriculture And Biological Sciences Osaka Prefecture
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