慣用色名の認識に関する基礎的研究 : 第1報:色選択法における色差・色名の知名度・イメージ可能度間の関係、および認識度評価の定量化の試み

概要

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JIS Z 8102に採録されている慣用色名がどの程度認識されているかを調べる為に、「色選択法における基準となる色票からの色差」、「色名の知名度」および「色名からのイメージ可能度」の3つの指標を用いて、相互の関係を明らかにした。「知名度」と「イメージ可能度」の間には強い正の相関、「知名度」と「色差」の間には中程度の負の相関、そして「イメージ可能度」と「色差」の間にはやや強い負の相関が見られた。さらにこれらの3指標から、主成分分析を用いて色名の認識について定量的に評価することを試み、認識度および錯誤度から95.2%説明が可能であることが明らかになった。これを踏まえると認識度に関して、「基本色のみの色名」はその他の色名よりも認識度が高く、「基本色が2つのみの色名」は「基本色を含まない色名」よりも認識度が高い傾向を示した。錯誤度については、「基本色が2つのみの色名」および「基本色を含む色名」は、その他の色名よりも有意に低かった。これは、慣用色名を知らなくても色名中の基本色を手がかりにして色選択を行った結果、色差が小さくなったことを示唆する。
日本色彩学会の論文
2009-06-01