良性色素細胞性母斑における真皮浅層胞巣形成部位および深部neuroid componentでの細胞増殖能,アポトーシスならびにアポトーシス抑制に関する比較研究
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概要
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後天性の色素性母斑は,組織学的には境界母斑に端を発し,真皮内へ増殖する.その細胞形態と配列は表皮から真皮深層まで段階的な移行を示し,真皮深層ではメラニンを欠き,線維化やneuroid transitionをきたす.これらの変化は経年的に発現し,隆起の増加,平坦化や色調の変化などの臨床所見とも相関する.近年,免疫組織化学的染色法の発展に伴い,メラノサイト系腫瘍について多くの検討がなされてきた.悪性腫瘍の鑑別診断を目的とした研究に比較して,良性の後天性色素性母斑の発生や増殖機転に関する研究は少ない.本研究では,色素性母斑における細胞分裂とアポトーシスの関係を明らかにすることを目的とした.後天性の色素性母斑のうち,HE染色で真皮浅層で胞巣形成,深層にneuroid componentを認めた15例(真皮内母斑10例,複合母斑5例)に対し,抗S-100抗体,抗Bcl-2抗体,抗Bax抗体,抗Ki-67抗体およびTUNEL法で免疫組織化学的染色を行った.母斑細胞数100当りの各マーカー陽性細胞数を,真皮内胞巣形成部位と真皮深部のneuroid componentとで比較し,また,各マーカー間の相関関係について検討した.S-100,Bcl-2およびTUNEL法では全例に陽性細胞がみられたが,Baxでは全例が陰性であった.Bcl-2では胞巣部分で有意に陽性細胞数が多かったのに対し,TUNEL法ではneuroid componentで有意に陽性細胞数が優勢であった.MIB-1は双方で少数の陽性反応を示したが,有意差は明らかでなかった.各マーカー陽性細胞は,両部位間で相関を示したが,各マーカー間での相関はみられなかった.この結果より,母斑細胞は真皮内に増殖していく過程で一定の細胞分裂能を保つと考えられた.また,真皮浅層ではアポトーシス抑制を受けているが,真皮深層ではアポトーシス細胞は増加しており,アポトーシス抑制の喪失により細胞数が制御されていることが推測された.
- 東京女子医科大学の論文
- 2002-02-25
著者
-
若松 信吾
東京女子医科大学附属第二病院形成外科
-
澤口 聡子
東京女子医科大学医学部法医学教室
-
澤口 彰子
東京女子医科大学法医学教室
-
沢口 聡子
東京女医大 医 法医学
-
手塚 弓紀子
東京女子医科大学附属田端NSKビルクリニック美容外科
-
沢口 彰子
東京女医大
-
若松 信吾
東京女子医大附属青山女性医療研究所
-
手塚 弓紀子
Department Of Plastic Surgery Tokyo Women's Medical University Daini Hospital
-
手塚 弓紀子
東京女子医科大学
-
澤口 聡子
東京女子医科大学 医学部法医学教室
-
澤口 彰子
Department Of Legal Medicine Tokyo Women's Medical University School Of Medicine
-
沢口 彰子
Department Of Legal Medicine Tokyo Women's Medical University School Of Medicine
-
澤口 彰子
東京女子医科大学法医学
-
澤口 彰子
東京女子医科大学医学部法医学教室
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