統合失調症患者が受けている看護師による身体接触 : 場面の状況に焦点を当てて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,統合失調症患者が受けている看護師による身体接触場面の状況を明らかにすることである.データ収集方法は,参加観察法を用いた.精神科病棟において看護師と統合失調症患者との身体接触の場面を記述した.場面のなかに描かれた状況を分類し,身体接触にみる特徴を抽出した.その結果,分析した身体接触場面は35場面であり,場面に参加した患者が19名,看護師が13名であった.抽出されたカテゴリーは19であり,【意図的な接触】と【無意図的習慣的な接触】にわけられた.さらに【意図的な接触】は,《日常生活援助の提供》,《セルフケアへの働きかけ》に分類できた.【無意図的習慣的な接触】は《内面に着目した身体接触》,どちらにも属するものとして《患者から求められる身体接触》が抽出された.また,身体接触自体は,「接触する看護師の身体部位と対象の接触部位」「接触時の圧」「両者の立ち位置」「接触に至る身体の方向」の要素があり,ことに《内面に着目した身体接触》は,接触時の要素が多彩であり,看護師による個性が反映されている傾向があった.今後,データ収集をさらに進め,身体接触の状況を明確にするとともに,対象へのアプローチに活用できる身体的位置や接触の仕方などケアの意味に即した上での有効的な方法について提示していく必要がある.
著者
関連論文
- 一般病院に入院する高齢患者のせん妄発症と環境およびケア因子との関連
- 新卒看護師の職場認知と適応に関する質的研究
- 看護場面における統合失調症患者に対するタッチの特徴
- 専門看護師の教育に関する研究 : 日本および米国のCNS・NPの教育と実践から
- CNS看護教育の課題と展望 : CNS10年にあたって(交流集会,第11回学術大会)
- 統合失調症患者が受けている看護師による身体接触 : 場面の状況に焦点を当てて
- 第18回公開研修会講演 リハビリテーション看護を必要とする人の心理的特徴 (平成19年度公開研修会)
- 精神疾患患者へのケア場面において : 看護士が行う隔離・拘束の必要性に関する臨床判断の様相
- 急性期医療における高齢者ケアの専門性(シンポジウム「急性期医療における高齢者ケアの専門性」,日本老年看護学会第11回学術集会)
- 認知症のある人に対する身体拘束(抑制)--ケアをめぐる現状と課題 (焦点 認知症ケアの実践ガイド) -- (認知症の人の日常生活の理解とケア)
- 重症度判定,診断・鑑別に用いるアセスメントツール (特集 せん妄ケアはどこまで進んでいるか--有効な予防法・対処法のエビデンス) -- (せん妄のアセスメントはどのように行うか)
- 一般病院におけるせん妄ケアシステムに関する実態と看護管理者と看護師のニーズ
- 看護場面における統合失調症患者に対するタッチの特徴