精神疾患患者へのケア場面において : 看護士が行う隔離・拘束の必要性に関する臨床判断の様相
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概要
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神科病棟において行われている看護ケアとしての隔離・拘束を的確に実施できるために,看護師の臨床判断の様相を明らかにすることを目的とし,精神科病棟に勤務する看護師23名に隔離・拘束の際の臨床判断に関する体験を語ってもらった.語られた体験を,質的に分析し,その中に描かれる臨床判断の様相をモデル化した.その結果,精神疾患患者へのケア場面において看護師が行う隔離・拘束の必要性に関する臨床判断の様相は,【看護師としての独自の判断と医師の決定へ移行するまでの過程】と【医師による決定後ケア内容を判断していく過程】の2層に大きく分かれた.またそこで判断される〈隔離・拘束の必要性に関する思考〉は,《患者の状態に関する判断》が《法的根拠との合致》があるかどうかよって喚起され,《患者が置かれている状況に関する判断》《患者とケアする自分自身との関係性に関する判断》であり,そこに〈判断を決定づける看護師の臨床能力としての基盤i的要素〉が影響し,〈最終判断を左右する要素〉によっては判断が覆されることもあった.さらに,〈病棟風土〉〈病棟環境〉はその判断の全様にかかわっていた.最も異なる判断をもたらすものとして,看護師の臨床能力としての基盤的要素が明確になったことで,今後的確な判断を促す臨床能力を育成する精神科臨床看護師の教育的介入に役立つ方略について探求していく必要があろう.
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