蓄音器をめぐる科学、技術、社会の相互影響について
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概要
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この論文で扱っているのは、音響学的蓄音機の社会的構成について、すなわち、蓄音機をめぐる科学、技術、社会の相互作用である。蓄音機を構成する各部は、その発明から生産終了までの間に何度かの技術変化を被っている。その中からレコード、サウンドボックス、ホーンの場合を考察する。 レコードの場合、いくつかの選択肢があった。その形を円筒にするかそれとも円盤にするか、音の信号をレコードの表面に対して水平に記録するか垂直に記録するかなどである。選ばれたのは最悪の技術であった。なぜ最悪の技術が選択されたのか、その理由は社会的要因によって説明される。 サウンドボックスの基礎となる理論は、大きく変化した。しかし、新しい理論はどこまで厳密にサウンドボックスの設計に適用されたのであろうか。新しい理論が実際のサウンドボックスの設計に果たした役割は、過大に評価されているように思える。 ホーンの理論は蓄音機の発明以前に確立されていたが、その理論が蓄音機に応用されたのはおよそ40年後であった。またその理論によって設計されたホーンは、そのままでは実際の蓄音機に実装することは不可能であり、実際のホーンは様々な技術的、社会的要因によって影響を与えられた。
- 人間環境大学の論文
- 2009-03-31
著者
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