ミリカンレクチャー1998 : 物理教育を科学に(<連載>海外の物理教育研究)

概要

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学生がどのように物理学を修得していくか,教室で指導をするときにどのような点に気をつけることが重要かという問題について,個々の大学物理教員が深い洞察を得ている場合も少なくない。しかし,そうした洞察が個人のレベルを越えて受け継がれることはまれである。教育方法については,1つの流行から別の流行への堂々めぐりが続いているように見え,科学者が期待するような強力な知識が逐次蓄積されていき,理解がしだいに深まっていくという状態にはほど遠いように見える。本論文は,物理世界についてのわれわれの理解の仕方と,物理の教育についてのわれわれの理解の仕方の特徴とを検討する。(後者を変革する上での)もっとも肝心な要素は,「科学の文化(方法)」すなわち1つの共同体のコンセンサスとなる知識を築いていく一連のプロセスを用いることにある。教育の分野における知見のベースを作り始めるために必要な諸要素について吟味し,実地の学科教育の中で行われた物理教育の研究に基づく例をいくつか紹介する。
日本物理教育学会の論文
2000-03-15