コラーゲンモデルポリペプチドの水溶液中でのダイナミックスと水和挙動(物性,一般)

概要

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コラーゲンのモデルポリペプチドである(Pro-Pro-Gly)_n(PPGn)の水溶液中での構造とダイナミックスさらに水和挙動を、1kHzから20GHzの周波数域の誘電緩和測定法を用いて広い温度範囲において検討した。PPG5は分子量が低く、水溶液中で三重螺旋を形成せずにシングルコイルとして溶解し、両端のアミノ基とカルボシ基がそれぞれ正と負の電荷を有するようにイオン化した鎖状分子として振る舞う。また、PPG5の水和数はアミノ酸残基当たり9程度であった。一方、分子量が高いPPG10は、水溶液中で三重螺旋を形成できるので、その水溶液は三重螺旋とシングルコイル状態の混合物であった。三重螺旋状態とシングルコイル状態のダイナミックスの違いは、誘電緩和測定によって容易に判別でき、それぞれの状態の分率を決定することができた。三重螺旋-単一鎖転移を一種の化学反応として捉え、得られた分率の温度依存性からその反応の平衡定数を見積もることによって、熱力学的に考察した。さらに、三重螺旋状態でのPPG10の水和数は、アミノ酸残基当たり2程度であり、この値は単結晶中で形成する三重螺旋中のPPG10に水和している水分子の数に近い値であった。
2009-10-15