3. 骨髄細胞の凍結保存(セミナー「動物細胞の保存」)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
血液は赤血球,白血球,血小板などの血球成分と血漿成分から構成されており,これらの血球は形態学的にも観察できる骨髄中の前赤芽球,骨髄芽球,巨核芽球などの幼若細胞から分化増殖してくる.しかし,形態学的証明は困難であるものの,さらに幼若な造血系細胞が存在することが近年種々の方法で明らかになり,造血幹細胞(haematopoietic stem cell)と命名されている.造血幹細胞には,すべての血球へ分化し得る能力を持つ,多能性幹細胞(multipotential stem cell)と,ある特定の血球系のみへの分化がすでに約束ずけられているcomitted stem cellとがある.前者はヒトにおいては未だ存在が証明されていないもののマウスではCFUs (colony forming unit in spleen)として確認されており,後者にはヒトでも証明されている,穎粒球系細胞に分化するCFUc (colony forming unit in culture)や,赤芽球へ分化するBFUE (burst forming unit, erythroid), CFUE (colony forming unit, erythroid)などがある.白血病,悪性リンパ腫,ある種の固型癌などに対する化学療法,放射線療法の進歩は目覚しいものがあるが,腫瘍細胞を根絶させるために強力な治療を行なえば随伴する高度の骨髄抑制が生ずるため治療には自ら限界がある.最近,自己の造血幹細胞を予め採取・凍結保存しておいて,治療後の骨髄抑制時に自家骨髄移植を行うことにより,骨髄抑制および腫瘍に因る死から患者を救うことも可能であるとの考えから,造血器系悪性腫瘍を主体とする抗腫瘍療法の新しい試みとして自家骨髄移植法は注目されつつある. そこで,マウス骨髄細胞を用いて,CFUcおよびCFUsの形成能を保存状態の指標として,造血幹細胞の凍結保存操作の基礎的諸条件を検討し,ヒト骨髄細胞の凍結保存への応用を目的に,実験を行った.
- 低温生物工学会の論文
- 1983-08-25
著者
-
雨宮 洋一
自治医科大学輸血部
-
伊藤 武善
日本大学医学部第一内科
-
雨宮 洋一
自治医大輪血部
-
雨宮 洋一
自治医科大学附属病院 血液
-
伊藤 武善
日本大学 内科学講座内科1部門
-
伊藤 武善
日本大学医学部内科学講座内科
-
天木 一太
日本大学医学部第一内科学教室
-
天木 一太
日本大学医学部輸血室・第一内科
-
天木 一太
日本大学医学部第一内科
-
雨宮 洋一
日本大学医学部輸血室・第一内科
-
天木 一太
日本大学医学部板橋病院中央検査科血液検査室
-
伊藤 武善
日本大学医学部内科学講座 内科一
関連論文
- 自己血貯血時のエリスロポエチン投与が凝固・線溶系、血小板機能に与える影響の検討
- 反復自家末梢血幹細胞移植を施行したリンパ芽球性リンパ腫
- 小細胞肺癌に対する末梢血幹細胞移植併用による超大量化学療法の経験
- 先天性第 VII 因子欠乏症 3 家系のミスセンス変異
- 造血細胞移植後の長期生存例における肺機能の推移
- 骨髄移植後早期の肺機能の推移
- 白血病における同種骨髄移植後の肺機能の検討 - 移植前の治療歴との関係について -
- 14.自律訓練法の集団療法に関する研究(第1報) : AT集団療法前後におけるPFスタディ上の変化について(第23回日本心身医学会関東地方会演題抄録)
- 9.吐気・頭部のしびれ感を訴え、抑うつ傾向のみられた1症例(第22回日本心身医学会関東地方会演題抄録)
- 6.呼吸困難感, その他の愁訴を訴えた仮面うつ病の1症例(第21回日本心身医学会関東地方会演題抄録)
- BI-18 IgE産生に対するストレスの影響(第3報)(第20回日本心身医学会総会一般演題に関する質疑応答)
- B I-18 IgE産生に対するストレスの影響(第3報)(実験心理)
- 当科における60歳以上の急性白血病の臨床的検討
- minor ABO 不適合骨髄移植後の正常同種凝集素および糖転移酵素の変化
- HLA-DR陰性の急性骨髄性白血病の臨床病理学的特徴
- 濾胞性リンパ腫自験21例の検討
- 髄膜浸潤をきたしたIgD-λ型多発性骨髄腫
- 急性白血病完全緩解期の骨髄CFU-Cに及ぼす末梢血単核球の影響
- 急性白血病・悪性リンパ腫 (癌診療の進歩) -- (化学療法最近の成績)
- 造血細胞移植患者における気道過敏性
- 骨髄線維症を併発したCD25陽性慢性好酸球性白血病
- 腹水除去後,寛解を維持したhuman herpesvirus-8 (HHV-8)陰性primary effusion lymphoma
- 輸血採血業務に携わる輸血部門看護師の現伏と問題点 : 認定輸血看護師(仮称)に向けて
- 成人血液疾患
- 慢性骨髄性白血病の同種骨髄移植後の再発に対するドナーリンパ球輸注療法
- 64.自己免疫疾患における摘脾の影響(自己免疫)
- 自律訓練法に対して, 特異的な取り組みを示した1症例 : 第39回日本心身医学会関東地方演題抄録
- PL 顆粒によるアナフィラキシー様反応,びまん性浸潤影,喀血をきたした1例
- 233.気管支喘息の HLA typing (第4報) : とくに喘息諸因子との関連を中心として(老化・遺伝)
- 小児気管支喘息用心因調査質問表の作成(第1報) : その必要性について
- 149.気管支喘息のステロイド療法に関する検討 : BDI によるほかのステロイド剤離脱の検討(喘息-治療)
- 急性白血病のFAB病型分類と多施設共同研究における診断一致率(特別講演 II, 第24回日本臨床細胞学会秋季大会記事)
- B細胞性白血病とB細胞性リンパ腫 (Bリンパ球)
- ニュージーランド・マウスの自己免疫疾患に対するCyclophosphamideとPrednisoloneの併用療法および摘脾の効果
- 67.NRB/W F_1 マウスの自然歴に対する N-benzensulfonyl-β-alanine hydrazide の影響(自己免疫)
- LPS Induces Migration of Bone Marrow Cells in LPS-nonresponsive C3H/HeJ mice
- 30Gy放射線照射と白血球除去フィルターの併用処置が血小板および血小板輸血に与える影響
- 顆粒球エラスターゼによる造血幹細胞移植後の造血機能評価
- 高速微量ヘマトクリット用遠心器について
- 3. 骨髄細胞の凍結保存(セミナー「動物細胞の保存」)
- 単純性肥満に対する絶食療法
- B細胞の異常--全身性エリテマト-デスおよびモデル動物(NZマウス)からのアプロ-チ (自己免疫発症機序--最近の考え方)
- 白血性B細胞腫瘍 (内科から病理へ-3-全国大学・病院CPC117症例) -- (病理篇)
- 全身性リンパ節腫脹,2つのM蛋白(IgG-L型,IgA-L型),末梢血中リンパ形質細胞様細胞出現 (内科から病理へ-3-全国大学・病院CPC117症例) -- (臨床篇)
- 16.自己血輸血による胆道拡張症根治術の1例(第31回日本小児外科学会関東甲信越地方会)
- 悪性リンパ腫 (癌早期診断のきめ手) -- (臓器別にみた癌の早期診断)
- HODGKIN病--組織所見と免疫異常 (肉芽腫性疾患)
- 溶血性貧血と血小板減少症--自己免疫の観点から (自己免疫病 臨床)
- 29.自己赤血球ロゼット形成リンパ球の検討(自己免疫1)
- 頚部の巨大リンパ節腫大を初発症状としたmalignant gonadal stromal tumorの1剖検例
- 輸血の適性使用とその合併症 (特集 急性疾患とエマージェンシー) -- (疾病救急を取り扱う上で知っておくべき基本知識)
- 輸血の臨床的効果の評価
- 輸血の実際
- 司会者のことば
- (5)リンパ網内系組織
- 白血球血漿--顆粒球輸血を中心として (ガンマグロブリンと血液製剤--その適応と使い方)
- 出血性ショック (救急計画法) -- (主要症候の救急計画)
- タイトル無し
- Therapeutic apheresis in hematologic disorders; Its indication and evaluation.