日本におけるスクーバ・ダイビングの変容 : 1950年代から1990年代まで
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概要
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本稿の目的は、日本におけるスクーバ・ダイビングの変容を解明することにある。スクーバ・ダイビングは、その初期にはスピア・フィッシンブを行うスポーツとして認知され、人気を博していた。当時のスクーバ・ダイビングは、スピア・フィッシングを行うことを目的とするチャンピオン・スポーツの性格をもっていた。しかし、ダイバーの増加にともない、漁業法との関係で、漁業協同組合の許可なく魚を採取することができなくなり、ある時期からスピア・フィッシングが行われなくなった。日本におけるスクーバ・ダイビングは、1960年代後半から1990年代にかけて、ダイビング・スタイルの変更を余儀なくされた。 そこで新しいダイビング・スタイルとして登場したのが、潜ること自体を目的とするファン・ダイブであった。ファン・ダイブは、水中の海洋生物や海底の地形を見て写真を撮ったり、水中の浮遊感覚を楽しむものであるから、水中銃で魚類を撃って捕獲するスピア・フィッシングとは性格が全く異なっていた。1990年代後半に発売されたデジタル・カメラの普及は、スクーバ・ダイビングの目的を水中の海洋生物や海底の地形などを写真に撮ることへと変えていった。日本のスクーバ・ダイビングの目的は、スピア・フィッシングによる魚を「捕る」ことから、ファン・ダイブによる海洋生物や地形などをカメラで「撮る」ことへの移行として考えれるだろう。こうして、日本のスクーバ・ダイビングは、スピア・フィッシングを行うことを目的とするチャンピオン・スポーツとしてのスクーバ・ダイビングから、ファン・ダイブを行うことを目的とするレクリエーション・スポーツとしてのスクーバ・ダイビングへと変化していったのである。
- 2009-01-31
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