日本語の形容詞句付加における構成素の長さ効果 : 事象関連電位を用いた検証(人間の言語処理と学習)
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概要
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日本語の「形容詞句+NP1+の+NP2」という構造は,形容詞句をNP1に付加するのか,あるいはNP2に付加するのかという点において構造的に曖昧である.先行研究では,付加詞の長さがそのような場合の付加位置の選択に影響するということが指摘されている.本研究では,その長さの効果が付加処理のどの過程で現れうるのかを検討した.より具体的には,形容詞句が短い場合と長い場合で,形容詞句をNP1に付加させようとする傾向が異なるのかどうかを事象関連電位(ERP)の観察を通して検証した.分析の結果,その2条件のERPに予測したような有意差は認められず,NP1入力時の処理過程に形容詞句の長さの効果が反映されるという証拠は得られなかった.一方,付随的に行った別の分析によって,形容詞句が短い文では,第2句(形容詞)入力以後,右前頭を中心に持続する陰性成分が確認された.この(右)前頭陰性成分についても,今後の研究において詳細な検討が必要である.
- 2009-07-11
著者
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