日本語の関係節修飾曖昧性における任意の再分析(人間の言語処理と学習)
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概要
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本研究は、日本語の関係節修飾曖昧性(「関係節N1のN2」(前者を近修飾、後者を遠修飾と呼ぶ))の処理において、文末の動詞が任意の、あるいは強制されない再分析をトリガーするかどうか検証した。二つのオフライン実験が行なわれ、関係節の動詞と主文の動詞の間における暗示的な因果関係が、近修飾(漸次的処理を想定)から遠修飾への強制されない再分析をトリガーするか調べた(近修飾も遠修飾も統語上は両方文法的である)。「関係節N1のN2主文動詞」(実験1)、「関係節N1のN2副詞句主文動詞」(実験2)という文構造が用いられ、因果関係がない(ベースラインとなる)条件では近修飾が選好された。また、因果関係がない条件に比べ、因果関係がある条件において遠修飾が有意な差で観察された。一見任意である再分析は動詞間の因果関係によって文内の意味的・談話的一貫性を保つためにトリガーされると主張し、「再分析は最後の手段である」という仮説(Fodor & Frazier l980)に対する理論的含意を議論する。
- 一般社団法人電子情報通信学会の論文
- 2013-07-27
著者
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