日本語格違反の処理に関わる事象関連電位研究(人間による言語理解・言語処理)
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概要
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本研究では,動詞の語彙的情報による格違反の判断に関わる脳内処理を調べるため,ニ格名詞句あるいはヲ格名詞句の後に,ニ格動詞(e.g.「会った」)あるいはヲ格動詞(e.g.「叱った」)を配置した正文または格違反文の容認性判断課題を行った.動詞位置における事象関連電位を測定し,正文と非文とで比較した結果,ニ格動詞, ヲ格動詞のいずれも,格違反文においてN400とP600が観察された.このN400は,レキシコンに記憶された語彙情報の検索を介して検知される格違反の処理を反映すると考えられ,先行研究との比較から,語彙情報の関わる格違反と統語演算の関わる格違反で,異なる脳内処理が関与することが示唆された.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2007-07-07
著者
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伊藤 たかね
東京大学大学院総合文化研究科
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小林 由紀
東京大学大学院総合文化研究科進化認知科学研究センター
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金丸 一郎
東京大学大学院総合文化研究科
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杉岡 洋子
慶應大学経済学部
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小林 由紀
東京大学大学院人文社会系研究科
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