産褥早期の授乳場面における母親の発話
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概要
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本研究の目的は,産褥早期における母親の発話の内容を明らかにし,発話数と内容の経日的変化について事例検討を行うことである.初産で経膣分娩をした日本人褥婦とその新生児10組を対象に,分娩後入院中(産褥1〜6日)の授乳場面の参加観察および録音を行った.1回あたりの観察時間は平均44.8分間であり,母親の[子どもに向けた発話]の数はO〜56であった.母親の発話の内容を分析した結果,【a.子どもの様子を描写する】,【b.子どもに問いかける】,【c.子どもの行動や反応をよみとる】,【d.世話行動に伴って掛け声をかける】,【e.子どもに応答する】,【f.子どもの行動を調整する】,【g.子どもと双方向的に会話する】,【h.わが子の特徴について表現する】,【i.母親の思考過程を表現する】,【j.母親自身の感情を表出する】の10カテゴリーに分類できた.事例検討により,母親の発話の内容は,初期には母親からの一方向的なコミュニケーションであるが,子どもの行動や反応をよみとり応答することや相互的なやりとりへと発展していくことが示唆された.母親の発話には個別性があり,場面の状況や母子の状態などが影響すると考えられる.また,母子関係を評価する際には,発話だけではなく,非言語的コミュニケーションと併せて観察する必要があると示唆された.今後は対象者を増やし,母親役割獲得過程との関連を検討することが課題である.
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