追従眼球運動適応時の大脳皮質MST野のニューロン活動について
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概要
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視野の広い部分の突然の動きに対して、それを追いかけるように短潜時で生じる追従眼球運動は、環境に適応して変化することが知られている。これまでの霊長類を用いた研究により、追従眼球運動の発現には大脳皮質MST野(Medial Superior Temporal area)と小脳腹側傍片葉を含む経路が関与していることが示唆されている。一方、学習メカニズムに関しては、運動学習の座は小脳皮質にあると示唆する研究が、分子レベル、細胞レベル、行動レベルにおいて、これまでに精力的になされてきている。しかし、運動に明らかに先行して発火するニューロンを同定し、同一ニューロンを維持して学習前・中・後を通して記録し続けた研究はない。本研究では、小脳へ入力信号を送っていると考えられる領域のMST野から、追従眼球運動の発現に先行して発火するニューロン活動を記録し、学習中の変化を検討した。その結果、MST野において学習の原因となる発火頻度の変化は起きていなかった。このことは、MST野が追従眼球運動の「学習の座」の上流に位置することを示唆する。
- 2009-03-04
著者
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