低い煙突実高で高い有効煙突高の場合の正規型プルーム式に適用する上層風向の観測高度について : 沿岸地域の夜間の場合
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概要
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ここでは、主に、火力発電所新増設に係る環境アセスメントの際の、単独煙源による大気汚染濃度予測のための気象、特に風向の高度差(風向の鉛直シアー)について研究した。煙突の実高が50m程度で、有効煙突高(熱または強制排気による煙の上昇分を煙突実高に加えた高さ)が数100mという中小規模の火力発電所を想定して、その排煙による大気汚染濃度を正規型プルーム式によって予測計算する場合、煙軸高度における風向の与え方についての問題を提起して検討した。特に、夜間に、風向の高度差が生じる場合に着目し、茨城県東海村の沿岸地域におけるドップラーソーダーによる地上約400m以下の気層での風向高度分布の実測データを入手して解析した。その結果、この地域の夜間に、地上付近が陸風で、数100m上空が海風という組合せの現象がかなり連続して発生していることがわかった。そのような風向の組合わせ条件に気温の上層の逆転層が重なった事例があり、大気汚染濃度予測の際に注意が必要であることがわかった。また、一般的な原子力発電所の排気塔相当の高度では陸風で、吹き上げを含む放出高では海風という組合せの現象もかなり発生していることもわかった。従って、原子炉施設の安全解析における通常運転時の排気塔放出の場合でも、念のために検討する必要があることがわかった。
著者
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安達 隆史
山梨大学教育人間科学部理科教育講座
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林 隆
独立行政法人日本原子力開発研究機構東海研究開発センター原子力科学研究所(元)
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小島 啓美
財団法人日本気象協会首都圏支社
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林 隆
日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所
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安達 隆史
山梨大学教育人間科学部
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林 隆
独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター
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