茨城県東海村における1981年8月の海風の高度別流線と鉛直シアー
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
地学の気象分野は,環境問題を理解する上で重要な分野であるが,大学や高校において,風が大気の汚染物質等を運び,拡散させているという観点での気象学教材が必ずしも十分ではない.この論文は,科学的な新たな知見を発表するとともに,上記の教材不足を補うものである.1981 年8 月に茨城県東海村の海岸を含む陸側約12km 四方の領域において,日本原子力研究所によって4 地点同時の測風気球観測が行われているので,その貴重なデータを使用して,海風時に着目した約1km 以下の高度別の流線と地点別の風向風速の高度変化を解析した.その結果,地上から高度75 m〜925 mに風向または風速の顕著な鉛直シアーが認められた.その場合に,風速が高度とともに減少するために風速鉛直分布のべき法則が適用できないような事例があった.この鉛直シアーは大気中に高所放出される大気汚染物質や放射性ガスの移流拡散予測に大きな影響を与えるが,観測によって面的にとらえた例は,これまでにほとんど発表されていないので,貴重な教材となる。
著者
-
安達 隆史
山梨大学教育人間科学部理科教育講座
-
林 隆
日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所
-
安達 隆史
山梨大学教育人間科学部
-
筑紫 文夫
日本気象協会首都圏支社
-
筑紫 文夫
日本気象協会東海本部
関連論文
- 静岡地方気象台のウインドプロファイラで観測された2003-2007年の上層風
- 茨城県東海村における原研のドップラーソーダで観測された1991-1992年の上層の乱流強度
- パーフルオロカーボンとSF_6との比較拡散実験
- 低い煙突実高で高い有効煙突高の場合の正規型プルーム式に適用する上層風向の観測高度について : 沿岸地域の夜間の場合
- 茨城県東海村における1991年の秋,1992年の春,夏,冬の上層風
- 河口湖付近の上層風の統計解析
- 関東地方における突風率の推定法
- 近畿地方における突風率の推定法
- 大気汚染濃度推定のための上層の大気安定度と鉛直方向乱流強度との比較 : 東海村の1992年の夏と冬
- 茨城県東海村における1981年8月の海風の高度別流線と鉛直シアー
- 茨城県東海村の沿岸地域で観測された海風の鉛直分布
- 緊急時の大気拡散・被曝評価数値モデルの高速・軽量化
- 酒田または秋田における黄砂日の後進型流跡線
- 茨城県東海村における1992年の夏と冬の上層風
- 静岡の上層風の統計解析
- TIBLによるフューミゲーション時の地上主軸濃度の平均値に適用するブルームモデルについて-TOKAI82〜83大気拡散実験データの解析-
- 熱的内部境界層によるフューミゲーション時の地上最大濃度出現地点の特徴
- 熱的内部境界層の高度を表すGarratt(1992)の式の感度解析
- ドップラーソーダ観測により得られた海風侵入後の夜間における乱流運動エネルギーの2次元k-ε乱流モデルによる解析