超低出生体重児の発達的特徴
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,超低出生体重児の早期の発達的特徴を明らかにすることを目的とした。対象は,聖マリア病院新生児科の医療対象になった超低出生体重児53人(男29人,女24人)である。まず,超低出生体重児の発達については,3歳までの発達曲線を遠城寺式・乳幼児分析的発達検査の検診年齢別で明らかにした。さらに,5歳〜6歳で施行する乳幼児精神発達検査(3〜7歳)の質問項目を健常児で標準化された数値と検討した。有意に低い質問項目を検討したのちにこの検査からは,超低出生体重児の発達的特徴を検討した。遠城寺式・乳幼児分析的発達検査では,1歳から2歳までの発達は平均を下回っている。2歳6月で発語と言語理解を除いて,年齢相応の発達がみられる。3歳では発語のみが,平均を下回っている。また,乳幼児精神発達検査(3〜7歳)の5歳6月時と6歳時の通過率をそれぞれ健常児と比較した結果をK-J法でみると,その結果は,知識やコミュニケーションなど言語領域に問題がみられた。したがって,心理学的発達援助を行うときに2歳6月からは,とくに言語の発達に注目する必要があることがわかった。これらのことは,これまでの臨床経験で持ってきた超低出生体重児の発達の印象を,客観的な指標でとらえたことになる。これによって発達援助をより具体的に行うことが可能になると思う。発達援助を行う際は,このほかに超低出生体重児であるという事のために生じるかもしれない親の養育態度などの児への影響について検討する必要もあろう。また,超低出生体重児には,おちつきのなさや不器用さがみられることがある。児の中に学習障害児などがいる可能性の検討も含めて,今後はこのような発達援助を学童期まで続けることが必要と考える。
著者
関連論文
- 超低出生体重児の発達的特徴
- ADHDのSummer Treatment Program : 日本における3年間の実践(エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端)
- 減量希望者の心理行動特性と習慣変容 : コンピュータプログラム利用者における成績から
- 障害児きょうだいの抑うつと不安について : 家事の手伝い・障害児の世話との関連
- 講演紹介 第2回福岡精神医学研究会特別講演記録「わたくしの治療のしかた」
- 方法としての行動療法 2行動療法理解の基本
- 臨床手段としての行動療法 (特別企画 行動療法)
- 危機介入としてのストレスマネジメント教育 (特集 ストレスマネジメント教育)
- 学校現場での活動 (医療行動科学の発展--心理臨床の新たな展開) -- (チームアプローチとしての心理臨床活動)
- 学校への緊急支援後の教師のストレス反応
- 医学生に対する行動科学に基づく睡眠改善教育プログラムの作成とその効果
- 行動療法による体重コントロールのための指導者教育プログラムとその評価
- 慢性不眠の行動療法とその効果
- 中学生の遅刻への学校ストレスの影響--学年と性別による比較検討
- くるめサマートリートメントプログラムの効果--注意欠陥多動性障害のある超低出生体重児の事例
- 学校ストレスが遅刻行動とその後の欠席日数に与える影響
- 長期欠席の前兆としての遅刻についての縦断研究 : 中学校3年間の調査
- P1B-10 非対面減量プログラムを用いた12市町村同時介入比較試験における指導者育成(ポスター発表1B(基礎研究・ストレス・精神保健),行動療法の先端性と一般性)
- O1-1 強迫性障害の行動療法に関する実地研修の報告(臨床心理大学院生編)(口頭発表1(医療-1),人間科学としての行動療法の展開)
- P1A-37 4ヶ月児とその母親の睡眠と健康(ポスター発表1(発達障害・育児・親指導),人間科学としての行動療法の展開)
- P1A-8 乳児の睡眠習慣形成を目的とした簡便な親訓練の効果(ポスター発表1A(発達障害・育児・親指導),行動療法の先端性と一般性)
- 日本人におけるThree-Factor Eating Questionnaireによる自発的な食事制限の特徴と減量との関係(原著)
- P2B-33 不必要な減量を希望する女性の体重コントロール行動(ポスター発表4(不安・抑うつ・精神医療),人間科学としての行動療法の展開)