Aphis fabae Scopoliは最近の侵入種か?
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概要
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1980年代後半以降,マメクロアブラムシAphis fabae fabaeとイヌホオズキクロアブラムシA.f.solanellaが相次いで発見され,種レベルで考えても,A.fabaeは最近の侵入種と見なされている.しかし,それ以前から分布していたか否かの検討は不十分であったため,大学や研究機関の所蔵標本と文献の調査から,過去の状況について検討を行った.標本調査では,農業環境技術研究所所蔵標本の中に,1967年に北海道のハナウド属Heracleum sp.と栃木県のアザミ属Cirsium sp.からそれぞれA.fabaeと同定されるべきアブラムシが採集されていたことが判明した.このことにより,日本におけるA.fabaeは最近の侵入種ではなく,1960年代にはすでに広く分布していたアブラムシと考えられた.文献調査では,1900年代前半の松村,高橋,進士によるA.rumicisに,A.fabaeの形態と一致する記述やA.fabaeが選好する寄主植物が含まれていた.このことにより,1900年代前半にはA.fabaeが生息していた可能性があることが強く示唆された.1900年代前半の日本を含む東アジアでは,A.craccivoraとA.fabaeはA.rumicisとして認識されていたことがあり,このことが日本からA.fabaeの発見を遅らせる原因となったと思われた.
- 2008-06-25
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