口腔領域疾患の病理組織検査125例の臨床的観察 : 17年間の病院勤務と37年間の歯科開業をふまえて病診連携を考える
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概要
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歯科・口腔領域では,大学病院や一部の大学病院歯科口腔外科を除けば,開業歯科臨床においては,臨床検査のみならず,病理組織検査および細胞診の件数は極めて少ないのが現状であり,口腔病理診断は歯科医療のなかで十分に確立されていない.したがって,病理診断側からの件数,包括的な病態像の病理診断等の記載はあまり多くなく,まして開業歯科医療の現状からの病理組織検査(診断)についての実態報告は皆無に等しい.そこで,共著の一人,杉本が歯科診療施設を開業して以来,37年間に病理組織検査を行った125例について症例を集大成し,1.腫瘍および類似疾患,2.粘膜疾患,3.嚢胞および類似疾患,4.炎症性疾患,5.前癌病変等について分類し,臨床的に検討した結果,その実態について興味ある結果を得たので,その概要を報告する.また,開業前の仙台市立病院歯科における17年間の25例についても検討した.これらの病理組織検査をふまえて,各疾患に対応して,近年とくに強調されている病診連携および連携医療を行うには,疾患によりかなりの困難を感じた.すなわち,日本の病院が歴史的に欧米の医療システムと異なるばかりでなく,歯科医療施設は二極化(大学病院と歯科診療所)が進みつつあり,今後の医療対策,医療制度の大改革の必要性を痛感した.現時点では歯科診療施設から,医科・歯科大学の病理部門,あるいは病理センター等に病理組織検査を恒常的に依頼し,それを継続することにより,病診連携,連携医療が進展する可能性は,より大きくなるものと思われる.
- 日本歯科医史学会の論文
- 2006-03-30
著者
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