医学館で行われた口科考試について
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概要
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寛政6年,江戸幕府直轄の医学校「医学館」(多紀元悳督事)において医学考試が行われた.受験者は若い下級医官又は官医の子弟たちであった.考試は本科・小児科・外科・口科に分かれ,口頭試問と筆記試験が実施された.口頭試問は病症の鑑別診断・薬方の適応症等で,筆記試験は外来患者に対する医案と処方を筆録するものであった.口科の受験者は本康寿仙と本康碩寿の両名で,問題は口頭試問が5題,筆記試験が2題であり,両名共成績は甚だ悪かった.この試験の結果は,受験者すべてに大きな影響を与えたものの様に思われる.成績のよかったものは忽ち昇進し,悪かったものは没落している.仮に昇進は実力で,試験の結果は影響しなかったとしても,試験の成績とその後の昇進が明確に一致している事実は否定の仕様がない.またこの考試はその内容を見れば,古典を身につけ実技を重ねていなければ答え得ないような問題ばかりであったから試験の成績はよく実力を表していたのであろう.注目すべき事は,当時,家督制度の時代であったにも拘わらず,彼等の黜陟に家柄が殆ど何の影響も与えていないと言う事実である.ここには松平定信と多紀家によって行われた医界における寛政の改革が現れているものと思われる.本康寿仙も本康碩寿も,その後記録には全く表れていない.
- 日本歯科医史学会の論文
- 2002-03-29
著者
-
戸出 一郎
鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座
-
別部 智司
鶴見大学
-
雨宮 義弘
鶴見大学歯学部
-
別部 智司
鶴見大学歯学部
-
戸出 一郎
鶴見大学歯学部歯科麻酔学講座:北里研究所
-
別部 智司
神奈川歯科大学生体管理医学講座麻酔科学分野
-
雨宮 義弘
鶴見大学歯学部歯科麻酔学教室
-
戸出 一郎
鶴見大学歯学部歯科麻酔科学教室
-
雨宮 義弘
鶴見大学歯学部歯科麻酔科学教室
-
戸出 一郎
鶴見大学歯学部
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