2.GISによる緊急対応支援システムに関する基礎的研究
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概要
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大きな地震災害が発生した場合,行政職員も被災者となる。ゆえに初動時に全職員が指定された参集場所に集まり,それぞれが事前に決められた「地域防災計画」に基づき任務分担された職務を遂行し,各種対応に従事するということは,非常に厳しいものであると考える。実際、阪神・淡路大震災時の神戸市職員の1月17日当日における参集状況は約35%,区役所職員は24%となっている。このような状況からも,いかに少ない職員で情報をまとめ,各種対応を決定していくかという事が重要になってくる。本研究では,消防本部が本システムを使用することを条件に、GISを活用する事により,作業に必要になる諸々の都市情報からなるデータベースを構築するとともに,予測される災害の総合地図表示,ならびに緊急対応のための消防署の持つ人的・物的資源をどの様に投入したら災害を最小限に封じ込める事が出来るかを考察する。つまり、地震が起こった場合、どの地区から救助の手をのぱしていくかが、問題となる。よって、第一に市内の被害状況を知る必要がある。そのために被害を導き出すバルナラビリティ関数を用いた。そして、GISに入力する都市の属性を被害の拡大する危険要因、防止する抑止要因、生活に関係する生活要因の8種類に分類し、それぞれの項目の重要度を判定する。その重要度を地区の属性ごとに用いることによって、その地区のプライオリティの判定を行う。地区割りは避難のことを考慮して、学校区を一つの単位とした。そして、システム分析することによって、学校区ごとに重要度を判定し、初動時の対応の必要性を導き出した。この手法により、市内の被害を最小限に押さえようと試みるシステムとした。以上,本研究では都市の地震災害・防災に関する全ての情報を収集し,それらをシスティマティックにコンピュータを用いて配列・格納する手法を開発する事により,被害想定・地域危険度の作業を支援するとともに,それらと連動して被害量・リスクを軽減する為に実行する地域防災計画など緊急対応策の最適化をダイナミックに追求・試行するシステムの構築を目標とした。支援を考えた場合、実際の地震ではその市だけが被害を受けるのではない。つまり、近隣の市町村を考慮した支援が本当の姿である。今回は一つの市のみを対象として行ったが、今後の課題として、周辺市町村を考慮した支援を考えていきたい。
著者
-
松田 磐余
東京都立大学都市研究所:(現)東京都立大学
-
望月 利男
東京都立大学
-
望月 利男
東京都立大学大学院都市科学研究科
-
天国 邦博
東京都立大学大学院都市科学研究科
-
高雄 真
東京都立大学大学院都市科学研究科
-
天国 邦博
jパシフィックコンサルタンツ(株)国土保全事業部
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