50. 地震災害脆弱性評価の都市間比較 : データの収集と整理

概要

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地震災害を誘発する要因は、多様であり複数の要因が相互に関連するため、防災対策に関連する正確な災害の予測は極めて困難である。また、将来地震が発生する可能性のある活断層の特定も、極めて困難である以上、何らかの方法で地震防災対策の優先度の高い地域を抽出しつつ、効果的な地震防災対策を決定して、早期に対応していくことも、震災予防の上で一つの重要な視点となるものと考えられる。その際に、できれば検討対象を要する幾つかの都市や地域あるいは地域内の小単位なミクロな地区毎に共通し統一された指標に基づくた統計データの積み重ねで、地域あるいは小地区間の比較が可能であれば、信頼性は向上し効果的な防災対策計画を進めることができるものと考えられる。阪神淡路大震災では、西宮市や芦屋市も含めて阪神地域の西側の中心的な大都市である神戸市に大規模な被害を与えた。都市に内在し、都市を特徴つける統計データや情報は極めて多岐にわたる。そして、これらの都市的情報が地震時の被害量を規定する大きな内的要因ともなりうる。もちろん震災の直接的な原因となる地震断層の活動や地震の規模などは、外的要因として大きな要因であり、別途考えなければならない課題であるが、内的要因からの地震防災課題へのアプローチは、それとは、独立した別の視点から検討できる可能性がある。本論では、この点に着目して、政令指定都市として指定され、統一した比較的精度の良い都市的統計データが整備されている13大都市を対象として、大都市比較統計年表に基づいて、これらの都市的特徴を表す統計資料から地震災害の要因となる項目を抽出し、相対評価により大都市の地震災害脆弱性の都市間比較を試みることを目的として、データの収集と整理を行って若干の検討を加えた。その結果、対象とした13大都市においてもかなりの差異が認められ、都市の特徴を示すことができた。阪神淡路大震災で多くの被害を受けた神戸市は、本論の結果から見る限り中間的な状況を示しており、川崎市,大阪市,東京都区部および名古屋市など、いわゆる三大都市圏を構成する各都市で、もし今回の地震と同様なメカニズムをもつ地震が、都市域の直下で発生した場合には、今回の阪神淡路大震災を上回る被災規模を想像させる結果となっている。今後、統計資料の項目間の相関性や不十分な項目を補完しつつ、試行錯誤を行いながら、地震災害脆弱性の絶対評価の方法論を検討していきたい。また、このような地震災害脆弱性の都市間比較の方法論を確立するとともに、都市内のよりミクロな地震災害危険度の貰い地域を特定し抽出する方法に発展させ、効果的なマイクロゾーニングと地震被害予測など地震防災対策に活用する試みを展開していく必要がある。いずれにしても、地震防災をキーワードとして、情報の収集・整理と蓄積の重要性を強調しておきたい。

50. 地震災害脆弱性評価の都市間比較 : データの収集と整理

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