23. 社会工学的アプローチに基づく地震被害低減 : 知識伝達、地震被害の見直し
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概要
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近年、最先端の技術を集積した建物や構造物が急増する一方、隣り合わせで老朽化した建物や施設も数多く残り、都市、あるいは地域全体をみると防災上のアンバランスが生じていることも否めない。都市や建物の機能が複雑になると、個々の建物の耐震性の向上のみでなく、地域全体としての安全性の評価も大切になってくる。今までこの種の問題は、その公共的な性格上、国又は地方の行政機関が主導し、民間の企業や住民は、その方針に従うといった消極的な対応だったように思われる。しかし、本来この様な問題は、住民、行政、企業が一体となって取り組むべきものであると考えられる。この場合に重要なことは、このような実行する人(行政、住民、企業)の軸、用いる要素技術(地震工学や社会、経済、心理学等)の軸、及びプロセス(地震の発生前後の時間的な活動経緯)の3軸で作られる空間において、お互いの連携を考慮して3次元的なアプローチを目指していくものと考えられ、これを社会工学的アプローチとよぶ。具体的な検討事例として知識伝達と過去の地震被害の見直しを取り上げる。「知識伝達」個別の先端的な研究をどのように実際の建設実務に役立てていくかを目的とした知識伝達の推進では、検討事例として米国で行われたワークショップと2つの免震建物の新技術導入の決定プロセスをとりあげ、考慮すべき重要な因子を抽出した。新技術採用における重要な因子(米国免震建物の場合)・技術革新を奨励する制度的、組織的風土(Culture)・影響力を発揮できる地位ある闘士(Champion)の存在・新技術採用についての技術担当者間の意見の一致・建物の重要度(歴史的な価値等)・付加価値を含め、全体として採算に合うこと「過去の地震被害の見直し」過去の地震被害を振り返ってみても、被害は当然その時代の社会的な背景を反映して変遷してきている。大地震が発生すると建物がどう壊れたかといった直接的な被害原因を追及することに目を奪われがちで、そのような建物を作る社会的、経済的な背景との関係で把握する多面的視野からの調査が少ない。一極集中化が進む現在の大都市の社会的状況を踏まえ、過去の地震被害を教訓として、将来の地震に対し有効な対策を考えることが重要と思われる。この様な被害と社会との係わりを考察する方法の一つとして連関図を作成し、考察した。研究は緒についたばかりで、具体的な手法については取り組む課題に応じて個々に検討すべきであるが、民間企業の立場からの発想も必要と考え、建設会社の担うべき役割を考えてみた。
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