培養歯髄細胞の結節形成現象とアポトーシスの関連性について
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概要
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われわれは,培養歯髄細胞が細胞密度の高い結節を形成してから石灰化すること,同石灰化部位およびその周辺部にアポトーシスに関連するTNF-α receptor, Fas, Fas-ligandなどが発現し,アポトーシス検出キットでも陽性所見を示すことを,これまでの報告で明らかにした.しかし,培養歯髄細胞における結節形成とアポトーシスの関連性については不明であったため,今回は結節形成とアポトーシス発現との関連性を検討した.歯周炎患者の歯周治療のために抜髄した歯髄組織からoutgrowthした線維芽細胞様細胞を検索対象とした.培地としてD-MEM培地を用い,5〜9代まで継代した細胞を8週まで培養した.対照群はD-MEMのみで培養し,実験群はアポトーシスにいたる経路の最終段階で活性化するCaspase3阻害剤を添加した同培地で培養した.培養開始時より位相差顕微鏡による結節の形成過程を記録した.4週の段階でCaspase3活性をFITCで染色し,レーザー顕微鏡で観察した.結節数の変化については,平均値の差の検定を用いて統計処理した.その結果,対照群,実験群ともに経時的に結節を形成し,有意に結節数は増加した.培養開始後3週以降の時点で,実験群の結節形成数はコントロール群よりも有意に少なかった.Caspase3活性は両群とも,培養開始4週の結節形成部で検出された.これまで培養歯髄細胞のアポトーシスは,石灰化に伴って生じると考えられていた.しかし今回の結果から,結節形成の過程においてアポトーシスが発現していることが示唆された.
- 2008-02-29
著者
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藤原 英明
岩手医科大学歯学部口腔機能保存学講座歯周病学分野
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八重柏 隆
岩手医科大学歯学部口腔機能保存学講座歯周病学分野
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國松 和司
岩手医科大学歯学部口腔機能保存学講座歯周病学分野
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国松 和司
長崎大学 歯 第2歯保存
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藤本 淳
ゆいとぴあ歯科医院
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矢菅 隆利
やすげ歯科クリニック
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藤本 梓
岩手医科大学歯学部歯科保存学第二講座
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八重柏 隆
岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔機能保存学歯周病診療室
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八重柏 隆
岩手医科大学歯学部口腔機能保存学講座歯周・歯内治療学分野
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國松 和司
医療法人社団顕正会歯科臨床研修センター
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八重柏 隆
岩手医科大学歯科保存学講座歯周療法学分野
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八重柏 隆
岩手医科大学歯学部保存学第二講座
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