高齢者における体の痛みが日常生活関連動作および抑うつ兆候に及ぼす影響の縦断的検討(医療保健学部)

概要

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目的:地域在住高齢者における痛みの状況と日常生活関連動作および抑うつ兆候に与える影響を明らかにすること。方法:秋田県N村の在宅生活者のうち,6年間の追跡調査が可能であった461名を対象とした。性別は男性178名,女性283名,平均年齢は70.5±4.7歳であった。日常生活関連動作の評価には老研式手段的能力評価(以下IADLスコア),抑うつ兆候の評価には老人用うつ尺度短縮版(以下SGDSスコア)を使用した。分析方法としては,まず1992年(以下92年)の痛みの状況を調査し,性別,年齢,経時的なIADLスコアおよびSGDSスコアに対する92年の痛みの影響について単変量的に分析した。次にIADLスコアおよびSGDSスコアを従属変数とした重回帰式モデルをそれぞれ作成し,92年の痛みの関わりの強さを分析した。結果:対象者の約7割が痛みを有しており,特に腰痛と膝痛の占める割合が高かった。単変量的分析では,痛みは女性に多く出現し,年齢層の違いに差は見られなかった。IADLスコアに対する92年の痛みの影響は,6年間を通じて小さかったが,SGDSスコアに対しては痛みを有する者の方がSGDSスコアが有意に高く,特に2年後以降の関与が強くなっていた。ステップワイズ法による重回帰分析では,94年以降のすべての時期のSGDSスコアにおいて膝痛が最終選択された。結論:地域在住高齢者が将来的に良好な生活機能を維持するためには,痛みに対する介入を日常生活関連動作の低下や抑うつ兆候の出現が見られていない早期から行っていくことが重要であると考えられた。

高齢者における体の痛みが日常生活関連動作および抑うつ兆候に及ぼす影響の縦断的検討(医療保健学部)

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