本邦の臨床分離MRSAの薬剤感受性とバンコマイシンへテロ耐性株(hetero-VISA)の検出
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
目的:1999年および2005年〜2006年に日本の臨床で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の薬剤感受性と,近年世界中で注目されているバンコマイシンヘテロ耐性MRSA(hetero-VISA )について,それらの動向を調査した.対象:日本国内で分離されたMRSA,1999年分離株138株および2005年〜2006年分離株477株.方法:薬剤感受性測定はClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)法に準じた寒天平板法で行った.hetero-VISAの検出は,バンコマイシンを4μg/ml含有したBrain Heart Infusion agarを使ったone-population analysisによってスクリーニングを行い, population analysisによって判定した.結果:10薬剤に対する薬剤感受性は1999年の調査時と変化を認めなかったが,アルベカシンに対する耐性率が有意に改善されていた(p=0.003).hetero-VISAは,1999年分離株では5.1%の割合で検出されたが,2005年〜2006年分離株では0.6%で,経年的に減少していることが明らかとなった.結論:hetero-VISA検出数の経年的減少の要因として,臨床における治療薬濃度モニタリング(TDM)を活用した症例ごとのバンコマイシン投与量および投与期間の適正化への取り組みが積極的に行われるようになっていることのほかに,本邦における1991年以前のMRSA感染症治療で,β-ラクタム系薬が頻用されたことが関与した可能性が推測された.hetero-VISAの継続的なモニタリングは,MRSAのバンコマイシン耐性化を監視する指標として有用であるため,今後はより簡易で精度の高い臨床検査室で実施可能な手法を開発していくことが課題である.
著者
-
藤田 直久
京都府立医大臨床検査医学教室
-
平松 啓一
順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学科
-
奥住 捷子
獨協医科大学病院感染総合対策部感染防止対策課
-
藤田 直久
京都府立医科大学附属病院 臨床検査部
-
藤田 直久
京都府立医科大学臨床分子病態・検査医学教室
-
藤田 直久
京都府立医科大学臨床分子病態・検査医学
-
藤田 直久
京都府立医科大学附属病院臨床検査部 臨床検査医学教室
-
藤田 直久
Ichg研究会
-
佐藤 成大
岩手医科大学医学部
-
佐藤 成大
岩手医科大学細菌学
-
佐藤 成大
岩手医科大学医学部細菌学講座
-
佐藤 成大
岩手医科大学 医学部救急医学
-
佐藤 成大
Department Of Microbiology School Of Medicine Iwate Medical University
-
佐藤 成大
横浜市立大学 医学部 公衆衛生学 教室
-
網中 眞由美
順天堂大学大学院感染制御科学
-
桑原 京子
順天堂大学大学院感染制御科学
-
東出 正人
江東微生物研究所
-
藤田 直久
京都府立医科大学附属病院臨床検査部:京都府立医科大学附属病院感染対策部
-
桑原 京子
日本細菌学会
-
平松 啓一
順天堂大学 医学部 細菌学教室
-
平松 啓一
順天堂大学 医学部 細菌学 教室
-
平松 啓一
福島県立医科大学 臨検査医
-
平松 啓一
順天堂大学 医学部 微生物感染制御科学
-
佐藤 英一
岩手医科大学共通教育センター物理学科
-
藤田 直久
京都府立医科大学附属病院大学感染制御・検査医学教室
-
藤田 直久
京都府医大 病院
-
平松 啓一
順天堂大学 大学院医学研究科感染制御科学
-
奥住 捷子
獨協医科大学病院
-
佐藤 成大
岩手医大
-
佐藤 英一
岩手医科大学教養部物理学
-
佐藤 成大
岩手医大 医 細菌学
-
平松 啓一
順天堂細菌
-
佐藤 成大
岩手医科大学 医学部 救急医学
-
佐藤 成大
岩手医科大学細菌学講座
-
佐藤 成大
岩手医科大学 医学部細菌学講座
-
東出 正人
株式会社 江東微生物研究所
-
藤田 直久
京都府立医科大学附属病院 感染対策部
-
桑原 京子
順天堂大学医学部細菌学講座
-
桑原 京子
順天堂大学医学部細菌学
-
奥住 捷子
獨協医科大学感染防止対策課
関連論文
- 心室性期外収縮に対するIb群抗不整脈薬の効果 : fast と slow drug 間の差異(日本循環器学会 第71回近畿地方会)
- 化学発光および呈色試薬を用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する linezolid の抗菌活性の評価
- Meropenem を含む各種注射用抗菌薬に対する2006年臨床分離株の感受性サーベイランス
- Meropenem を含む各種注射用抗菌薬に対する2004年臨床分離株の感受性サーベイランス
- 血中D-アラビニトール測定時のD-マンニトールの影響について
- シンポジウムS5:Emerging Infectious Diseases,臨床病理学的アプローチ バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
- ICUにおける抗菌加工リネンのMRSA感染予防効果の一検討
- 当院で経験した血液培養陽性の小児がん患者からの考察
- Meropenem を含む各種注射用抗菌薬に対する2002年臨床分離株の感受性サーベイランス
- 感染制御に最適な病院建築デザイン手法に関する研究 : 外来領域におけるトリアージプラン
- 本邦の臨床分離MRSAの薬剤感受性とバンコマイシンへテロ耐性株(hetero-VISA)の検出
- 腎機能検査の指標としての尿中遊離型ドーパミン測定と他法との比較
- 京都府立医科大学附属病院における検査相談室の歩み
- 感染制御教育に関する検査部の取り組み
- 呼吸器感染症の原因となる臨床分離菌に対する gemifloxacin の抗菌力
- 乾性咳嗽で発症し急速に腎不全・呼吸不全を来した症例
- 106)経過中にMICが変化した,緑膿菌による感染性心内膜炎の一例(第102回日本循環器学会近畿地方会)
- 9)多発性骨髄腫に対する化学療法の数日後に発作が頻発した冠攣縮性狭心症の一例(第102回日本循環器学会近畿地方会)
- 白血病細胞の中枢神経系浸潤と白質脳症の鑑別にMR spectroscopyが有用であった急性リンパ性白血病
- 末梢血幹細胞採取時期の決定に有効な指標に関する検討
- バンコマイシンヘテロ耐性株Mu3由来の菌集団では増殖速度低下と細胞壁肥厚化を伴う自然突然変異がバンコマイシン耐性をもたらしている
- 病院感染を防ぐための病院建築 : 順天堂医院の建築・設備に関する実態調査
- VanB型-バンコマイシン耐性腸球菌による局地的流行伝播の早期発見と拡散防止対策の有効性について
- 中等量および大量 ara - C 療法が有効であった monosomy 7 を伴う Ph 陽性急性リンパ性白血病
- 卵巣癌に対する白金製剤が原因と考えられた治療関連骨髄性白血病
- FISH法にてPh陰性の自家末梢血幹細胞を移植した慢性骨髄性白血病
- 感染予防対策と経済性に配慮した病院設計
- 218) 臥位により発作の誘発されるStokes Adams症候群の1例 : 日本循環器学会第55回近畿地方会
- 88) 左右両冠動脈起始の冠動脈 : 肺動脈瘻の1例 : 日本循環器学会第55回近畿地方会
- 治療抵抗性および再発多発性骨髄腫に対するサリドマイド療法の検討
- 白血化で発症した BCL6 再構成を認めた CD5 陽性 B 細胞性リンパ腫
- VP-16少量長期経口投与後に発症した二次性急性骨髄性白血病の3例
- 胸部異常陰影で発症し末期に白血化および hemophagocytic syndrome の合併を認めた NK 細胞リンパ腫
- 造血幹細胞の分離に関する基礎的検討
- 患者由来肺炎球菌の薬剤耐性の動向
- 急性骨髄線維症を合併した Werner 症候群
- 深在性真菌症の診断・治療におけるβ-D-グルカン値の評価
- 抗菌薬適正使用推進チームによる抗MRSA薬使用適正化の試み
- MRSA の toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1) 産生に及ぼす arbekacin の作用
- Staphylococcus aureus の vancomycin および methicillin 耐性
- Hetero-VRSAに対するteicoplaninと各種抗菌薬の併用効果
- 肺炎球菌に対するfaropenemの抗菌力に関する研究
- Vancomycin に対する Staphylococcus aureus のヘテロ耐性メカニズムと簡易検出法の検討
- Streptococcus agalactiaeのβ-ラクタム薬感受性に関する基礎的検討
- バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌 (VRSA)
- 臨床分離コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のグリコペプチド系抗生物質に対する感受性についての検討
- バンコマイシン耐性菌-その脅威 最も恐ろしいのはヘテロVRSA.急がれる家族内感染と院内感染への対策
- バンコマイシンヘテロ耐性黄色ブドウ球菌の検出方法
- バンコマイシン耐性MRSA・Mu50のバンコマイシン耐性メカニズムについてその-2
- バンコマイシン耐性MRSA・Mu50のバンコマイシン耐性メカニズムについてその-1
- バンコマイシン低感受性MRSA・Mu50に対するVCMの抗菌力について
- 産科病院で分離したMethicillin耐性Staphylococcus aureusの細菌学的・分子疫学的解析
- バンコマイシン感受性低下がMRSA血流感染症の臨床経過に及ぼす影響の検討
- 都市生活環境中のメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)の調査と性質
- 胸部外科手術後の抗生剤選択がIL6に与える影響-イミペネムとフロモキセフ-
- 微生物検査の年中無休体制の確立とその効果
- Real-time PCR 法 (BD GeneOhm^ MRSA Detection Kit) を用いたMRSA迅速検査法の基礎的検討
- 細菌検査室からの情報発信
- Telithromycin の各臨床分離株に対する抗菌力の検討 : 主に呼吸器感染症起炎菌の臨床分離株に対する抗菌力
- 血小板減少を伴う早期新生児期の発疹症 : メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の関与について
- ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV-I)ぶどう膜炎による続発緑内障
- Quantiferon TB-2G 検査(結核の検査)
- MRSAの白血球溶解毒素Panton-Valentine leukocidin(PVL)産生に及ぼす抗菌薬の効果
- 閉鎖式輸液ルートの内部死腔が細菌増殖(感染リスク)に及ぼす影響についての検討
- VRE保菌者サベイランス
- 自動血球計数器セルダイン3500によるMDS形態異常スクリーニング
- バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症
- 薬剤師と医師、協調性と独自性
- 耐性菌感染症の現状 : MRSAの進化と順天堂COEプログラム(院内感染制御への新たな試み)
- Real-time PCR 法を用いた血液培養からのMRSA迅速診断法の検討
- 数値流体力学的手法を用いた陰圧病室の飛沫核の解析
- 病院感染を防ぐために,われわれは何を目指すべきなのか
- ICDから薬剤師に望むこと, そしてICDとしてできること
- たかが手洗い, されど手洗い
- 医療環境における職務曝露のリスクと検査室における曝露予防策
- わが国に合致する感染予防対策はなにか,「世界の常識,日本の非常識」
- 〔総説〕本院における院内感染対策の状況と問題点
- シンポジウムI:院内感染 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
- 第10回 日本臨床微生物学会総会
- 4.結核の感染と機器(患者のための医科器械)
- 検査室における感染対策 : 全国大学付属病院臨床検査室へのアンケート調査から
- 検査室における感染対策
- 電子顕微鏡下に於けるVancomycin耐性黄色ブドウ球菌の形態変化(平成13年度順天堂大学医学部中央電顕室研究報告会抄録)
- 市中感染型MRSAの遺伝子構造と診断(最新の知見)
- Gatifloxacinの細菌学的検討
- Sulopenem抗菌活性の基礎的, 細菌学的検討
- NM441の細菌学的検討
- Cefluprenamの細菌学的検討
- Pazufloxacinの細菌学的検討
- Ritipenemの細菌学的検討
- 急性炎症性疾患に対するPOCT対応機器 Microsemi LC-667CRPの有用性
- 抗菌薬適正使用のための臨床検査部における包括的マネイジメント
- Meropenem を含む各種注射用抗菌薬に対する2009年臨床分離株の感受性サーベイランス
- Interleukin-2 (IL2)の投与が奏効した慢性粘膜皮膚カンジダ症の1例
- 生物発光分析法を使った中心静脈カテーテル関連血流感染症の迅速診断
- 司会者の言葉
- タイトル無し
- A Clinical Evaluation of Antibacterial Linens on Nosocomial MRSA Infection in An Intensive Care Unit.
- 感染対策と臨床検査技師の実践行動
- 微量検体採血時の検体量および抗凝固剤の差異による血球計数検査値への影響