小笠原諸島におけるカサガイ類の生息状況
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概要
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小笠原諸島は,本州から約1,000km,ほぼ同緯度に位置する沖縄本島から1,300km以上離れた海洋島である。そのため,広大な海洋に隔てられた小笠原諸島からは陸棲生物,海棲生物を問わず固有種,固有亜種が多く報告されている。これまでに小笠原の海棲貝類相については,倉田・他(1969)および松本・他(1970)が軟体動物全体のリストを報告し,その後,Fukuda (1993, 1994, 1995)では,海棲貝類相の包括的な記述と考察を行っている。これらの報告によると,小笠原諸島からはツタノハガイScutellastra flexuosa,カサガイCellana mazatlandica,シワガサCellana enneagona,オオベッコウガサCellana testudinaria,コガモガイLottia kogamogai,オボロヅキコガモガイLottia lindbergi,キクコザラLottia langfordi,オガサワラアオガイNipponacmea boninensis,シボリガイモドキPatelloida signata,そしてヤヨイハナガサYayoiacmea oyamaiの10種のカサガイが知られている。筆者は, 2006年5月25日〜28日,および同年6月8日〜18日にかけて小笠原諸島の父島と母島の17地点(図1)で,カサガイ類の採集と生息状況の調査を行ったので,ここに報告する。今回の調査で生息が確認できたのは,ツタノハガイ,カサガイ,シワガサ,オガサワラアオガイ,シボリガイモドキの5種であった。このうちシボリガイモドキは境浦の潮下帯の転石下から1個体のみ採集されただけに留まるので,他の4種について詳しく紹介する。
- 2007-02-28
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