吉野川上流域の同一斜面上に隣接する無間伐人工林と広葉樹自然林の土壌孔隙率と最大容水量の比較
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概要
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森林土壌は,土壌孔隙により降雨を一時貯留する機能を持っている。吉野川上流域の12地点において,植生以外の自然立地条件がほぼ同一と思われる,同一斜面上に隣接する無間伐人工林と広葉樹自然林での表層土壌の土壌孔隙率と最大容水量を測定し,植生の違いによる土壌の持つ貯水機能を比較した。調査方法は12地点それぞれの無間伐人工林プロット内と広葉樹自然林プロット内において,植生の影響を受けるといわれる表層土壌(深さO〜20cm)の土壌コアサンプルを採取した。採取した試料から土壌孔隙率及び最大容水量の測定を行った。その結果,土壌孔隙率は広葉樹自然林のほうが無間伐人工林より6.4%高く(p<0,001),最大容水量も広葉樹自然林のほうが無間伐人工林より8.3%高かった(p<0.001)。また広葉樹自然林と無間伐人工林における土壌孔隙率と最大容水量の関係を比較した結果,無間伐人工林においては比例関係が認められ,その相関は回帰分析の結果有意であった(p<0.001)。無間伐人工林に比べ自然林の方がA層が厚く,土壌孔隙率,最大容水量ともに高い値を示していた。腐植の含量が多くA層が厚い土壌ほど貯水機能が大きいことが示唆されている。無間伐人工林を手入れすることにより,A層が発達すれば土壌孔隙率・最大容水量が高くなり,土壌の貯水機能が増す可能性がある。
- 2006-06-25
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