ウメの生育障害と年輪幅及びその重金属濃度の推移
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概要
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1985年頃からウメの異常な生育障害が発生し,それが1990年代の半ばには梅林の10%近くに及んだ和歌山県田辺市とその周辺で,この生育障害が初期から発生している障害発生地域の5箇所(田辺市北西部)から生育障害木を,生育障害が顕在化していない非発生地城の5箇所(田辺市南東部及び日置川町)から健全木を,それぞれ15年生(5本)と25年生(3本)の年輪を1998年12月に採取し,その年輪幅を解析し,年輪中の重金属濃度を分析した.合わせて,各調査地点で年間にわたって煤塵中の重金属量も測定した.その結果,生育障害木は1990年代に入って,健全木と比較して明らかに年輪幅が低下していた.それに対して,5年間平均値で得られた重金属濃度は健全木では年輪幅とともに減少または横ばい傾向であるのに対して生育障害木では上昇傾向が見られ,1990年代の最後の5年間では多くの重金属において生育障害木で有意に濃度が高かった.土壌中重金属濃度は両地域で差異は見られないが,降下煤塵中の重金属量が障害発生地域で有意に高いことから,このような生育環境下では,生育障害による衰弱過程のウメの特徴(指標)としては,年輪幅の著しい低下と重金属濃度の上昇傾向が示唆された.
- 日本生態学会の論文
- 2004-06-30
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