松枯れと斜面崩壊 : 1999年6月広島地域の集中豪雨災害について
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概要
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1999年6月広島県西部域に多数の犠牲者と家屋の倒壊をもたらした集中豪雨で崩壊した斜面の地形,地質,林分状況を極楽寺山を含む9km×22kmの地域の141カ所で,7〜9月に調べた。崩壊斜面は花尚岩マサの急傾斜地(傾度>30度)に集中していた。崩壊斜面は,この10年間松枯れが急速に進行し,若齢の広葉樹林化した極楽寺山の沿岸部地域周辺に集中していた。マツ枯死後の根系土壌緊縛力推移モデルから推定されたこれら松枯地域の根系土壌緊縛力は松枯れ未発生を仮定した場合の平均約1/5に過ぎなかった。また,急傾斜な谷部の若齢のスギ・ヒノキ人工林の崩壊箇所と山火事跡地の崩壊箇所が松枯跡地に次いで多かった。以上のすべての崩壊斜面において,崩壊時の根系土壌緊縛力のモデル推定値は,これら崩壊斜面において,松・モミ枯れまたは山火事が未発生であったと仮定した場合の根系土壌緊縛力のモデル推定値以下であった。よって,もし,松・モミ枯れ,山火事及び植林がなければ,これら斜面が崩壊を免れた可能性が高いことが示唆された。
- 応用森林学会の論文
- 2000-09-25
著者
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