冠雪害を受けたスギ人工林内での9種落葉広葉樹の侵入様式
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概要
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冠雪害を受けたスギ人工林内における高木・低木性の9種落葉広葉樹の侵入様式を研究した。侵入した種の中で最も優占度が高かったのはミズキで,ついでウワミズザクラであった。9種は,ギャップ形成を機に侵入したが樹種により侵入パターンが異なり,2つの主なタイプが観察された。ミズキタイプ(ミズキ・ホオノキ・ヤマグワ)は,ギャップに依存しギャップ形成後数年間のみ侵入した。ウワミズザクラタイプ(ウワミズザクラ・ハナイカダ・ウリノキなど)は,ギャップに必ずしも依存せず連続して侵入していた。これらの結果から,侵入のために前者が急激な光の変化を必要とするタイプであるのに対し,後者は安定した光条件を必要とするタイプである考えられた。これらのタイプの分布様式は,侵入のためにミズキタイプは小ギャップを利用し,ウワミズザクラタイプはギャップ近くのスギの林冠下に侵入したことを示唆した。結果的に,これらの広葉樹がスギ人工林内において広くランダムに侵入するためには,比較的小さな林冠ギャップが頻繁に形成されることが必要と考えられた。
- 森林立地学会の論文
- 1999-06-25
著者
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