9.アメリカにおける乳がん患者の看護援助への期待 : ロサンゼルス市を中心とした調査から
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概要
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米国の乳がん患者の看護援助への期待について明らかにすることを目的として,アメリカロサンゼルス市およびその周辺地域にある3ヶ所のがん患者サポート施設に通所する乳がん患者を対象とした調査を実施した.調査は2002年10月から2003年3月にかけて,無記名自記式調査票を用いた留め置き調査(配布数300枚)を行い,郵送法により回収した113名の回答を分析した.看護師に期待することは「情報提供」が85.8%と最も高く,次いで「精神的サポート」85.0%,「啓蒙・社会活動」77.9%,「同じ体験者の紹介」71.7%,の順であった.期待する「情報提供」の主な内容は〔患者会〕について63.7%,〔病気〕について61.9%,〔自己検診・定期検診〕について53.1%であったし「情報提供」のうち,〔漢方療法〕や〔性生活〕については診断後経過年数が6年以上の人のほうが経過年数の短い人に比べて期待する割合が高かった(p<0.05).また,乳がんの体験者や患者会メンバーなどの患者仲間が情報提供や精神的サポートにおいて大きな役割を果たしていることが明らかとなった.本研究から,米国の乳がん患者は看護師に対して治療時の看護だけではなく,回復過程を通しての精神的サポート,病気や治療といった専門性の高いものから日常生活に関わることまでを含む幅広い内容の情報提供,啓蒙・社会活動など,専門職としての役割を担うよう期待していることが明らかとなった.さらに,直接的な患者サポートが看護師に期待されているのと同時に,患者会など患者同士の相互サポートが有効に機能するように患者会などへの支援を行うことも乳がん患者にとって重要な看護援助であることがわかった。
- 京都府立医科大学の論文
著者
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西田 直子
大阪府立大学 大学院看護学研究科
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西田 直子
京都府立医科大学附属病院
-
嶌田 理佳
京都府立医科大学 医学部看護学科
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八木 彌生
前静岡県立大学看護学部
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西田 直子
医療技術短期大学部
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西田 直子
京都府立医科大学医学部看護学科
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