宗教と科学の関連性における一考察 : 親鸞著『教行信証』の真実性をふまえて
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概要
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今回、宗教と科学の関連性における一考察として、宗教と科学の接点についての捉え方について考察するものである。生涯「真実性」を求められたと考える親鸞の「真実性」は、科学的真実性とも関連性があったのではないかと考え、今回の考察となる。宗教と科学と言えば全く相入れないようなものと考える。この関係は第一に合理的な面で対立する面がある。又、逆に文化的領域面については両者の成立の必然性が異なるので、共存する面もあると考える。特に、仏教思想の三法印・縁起説は現代の科学をも含んだ思想と考えることはできないだろうか。そこで、親鸞は『教行信証』において「真実性」を示す中に、学問的関連性を含めた宗教的真理・真実の捉え方をしているように考える。宗教と科学の捉え方として気になるのが「方便化身土巻」(末)である。この巻には当時の社会問題だけではなく、現代の諸問題にもかかわることが示されているように考える。最初に『涅槃経』『般舟三昧経』が引用され、仏法僧の三法に帰依し、天神地祇に仕えてはならないと示された後に『大集経』が長々と引用される。その内容は印度古代の天文学が記されている、仏教といえども天文については天動説で須弥山を中心とするもので、大地の上を日・月が廻ると考えられていた。現代の科学から言えば大変な誤りである。しかし、親鸞は天文学をとり上げるのではなく、天神地祇の天体運行の法則を見て、自然科学と信仰(往生)とは異なることを意味する。親鸞が現代の科学的な自然の真実を意識しながら、仏教を解する為に用いられたと考える。この中に「三精気」の文言が再々でてくるのである。ここには、全てが因縁によって繋がっているという仏教の原理の大切さが、科学の真理にもかかわっていることを示されると考える。親鸞の意は如来の本願に目覚めることが科学的真理にも係わるものと考えたのではないかと考える。
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