『たまきはる』における夢の表象
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概要
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『たまきはる』は、作者が完結させた本文と、作者の棄てた草稿を後人が拾った奥書以降から成る。本文には、周到な構成意識がみられ、冒頭部はその内容と相似し、建春門院と春華門院の存在性と喪失を表象している。この形態上の特質は、書かれる夢にも反映している。比喩の「夢」の語例は本文にあって、奥書以降にはない。また、「夢の記述」は本文にはなく、奥書以降にある。奥書以降に残された睡眠時の夢は、作者の意図を越えて、お仕えした女院たちの存在意義と意味連関をさらに具体的に浮き彫りにすることに一役買ったのである。
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