『とはずがたり』の旅 : 呪縛からの解放
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
鎌倉時代に大旅行をした女性として共通する阿仏と後深草院二条は,制度の中と外という観点でみるならば,まったく対極的な存在である。阿仏は家に帰属する女として,家のために生き,制度に守られ,また制度を強固に支えた。しかし,二条は家に帰属しては生きられなかった。っこの意味で二条は独身者・単身者であった。阿仏は和歌の家を守るために大旅行に挑んだが,一方,二条の旅は制度から逸脱した女の旅であった。しかし,彼女は,結果的に尼として大規模な旅を実現させている。それは,枕詞探訪,都回帰という制度的な旅の類型と表現を超えた冒険的で個性的な新しい旅と言える。そしてそれは,家なき女の身の果てに待ち受けていた小町的末路からの解放であり,人生の達成でもあった。
- 2003-03-15
著者
関連論文
- 『とはずがたり』の語りと身体 : 小町とかぐや姫をめぐって
- 『建礼門院右京大夫集』における夢 : 象徴と比喩
- 『とはずがたり』にみる涙の表象--衣・身体性に関連して
- 『とはずがたり』の旅 : 呪縛からの解放
- 『とはずがたり』の旅 : 呪縛からの解放
- 『たまきはる』冒頭部再考 : 時間認識と回想(IV)
- 『たまきはる』における夢の表象
- 旅寝の夢 その2 : 紀行にみる類型と独自性
- 13.旅寝の夢 その1 : 勅撰集覊旅歌の類型(IV)
- 造形される"旅" : 東下りと勅撰集
- 造型される"旅" : 東下りと勅撰集
- 実朝と後鳥羽院 : 定家所伝本『金槐和歌集』をめぐる試論