『たまきはる』冒頭部再考 : 時間認識と回想(IV)
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概要
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『たまきはる』は建春門院、八条院、春華門院の仕えた女房の手になる鎌倉期の自伝的作品である。『たまきはる』には、作者が構成してひとまず完成させた本文のほかに、選択の結果本文に入れなかった草稿を後人が拾い集めた記述を奥書以降に有するという形態上の特質がある。このような作品の本文冒頭部がいかなる意味をもつのかについてはすでに論じたことがあるが、本稿では冒頭部に見出せるキーワード「夢」「桜」「花」の分析、時間認識と回想の質という観点から再論する。時間認識の特徴は、「昔」と「今」の分断である。これは冒頭部を読み解くヒントになり得る。すなわち、「昔」の象徴としての建春門院と、「今」の春華門院の因縁を述べるという、作品の根幹が冒頭部には示されているのである。
- 2005-03-15
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