石垣島白保サンゴ礁におけるナガウニによる生物侵食と堆積物生産
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概要
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サンゴ礁において,重要な侵食営力であるウニ類による侵食は,同時に侵食した砕屑物を排出することによって,堆積物を生産する役割も果たしている。本研究では,ウニが取り込む摂取物の内容・量を調べ,サンゴ礁内の堆積物収支を考えるための基礎とする。ここでは,石垣島白保海岸で最も優位に分布の見られるナガウニ(Echinometra mathaei)を対象に,摂取される堆積物の起源と粒度組成の分析を行った。E.mathaeiは殻長が大きい個体ほど多量の炭酸カルシウムを摂取し,90%以上が径1mm以下の細粒堆積物を生産している。これらの細粒堆積物は白保サンゴ礁内の底質に多くは認められず,潮流や波浪によって移動していることが示唆される。摂取物の起源は,サンゴ礁石灰岩以外に,有孔虫や貝殻片が判別され,サンゴ礁内の堆積物を摂取していることが明らかになった。実質的なE.mathaeiの侵食量は,摂取物の総量から見積もられていた侵食量より,少ない可能性が示唆できる。
- 駒澤大学の論文
著者
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岩崎 健
岡山大学教育学部
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菅 浩伸
岡山大学教育学部
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鈴木 倫太郎
駒澤大学大学院人文科学研究科地理学専攻博士後期課程
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鈴木 倫太郎
駒澤大学大学院
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菅 浩伸
岡山大学大学院自然科学研究科:岡山大学大学院教育学研究科
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