小笠原諸島父島のリュウキュウマツ-ムニンヒメツバキ林における松枯れ以後の林床植生の変化
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概要
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小笠原諸島の父島のリュウキュウマツ-ムニンヒメツバキ林において,マツノザイセンチュウによるリュウキュウマツの一斉枯死(1979〜1982)の後に起こった林床植生の変化について調べた。松枯れ以前(1977)に林分の毎木調査を行った旧方形区(10箇所)と,松枯れ以後(1986)に新しく設けた方形区(13箇所)において,林床の樹木の実生・稚樹と草本類の出現頻度と個体密度を求めた。その結果,松枯れ以後の林床植生の変化は,標高や地形による立地条件の差,松枯れ以前の森林の性格,松枯れ以後に襲った台風(1983年11月)による被害の程度,隣接する植生の種類,野生化ヤギの食圧などの影響を受けて,多様な内容のあることがわかり,次の9類型を識別した。また,これら各類型の父島全域における分布図を作製した。(1)ムニンヒメツバキ型(2)モクマオウ落葉型(3)アコウザンショウ型(4)ウラジロエノキ型(5)ギンネム型(6)アカギ型(7)タマシダ型(8)ホナガソウ型(9)草地・裸地型これらは植生遷移の観点からみると,現状維持(類型1,2,7),外来種の優占する森林への移行(類型5,6),遷移段階初期への逆行(類型3,4),森林から草地・裸地への退行(類型8,9)にまとめることができ,松枯れ以後の林相の変化は,現状維持ないしは退行的であると総括された。
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