仏教におけるイメージの研究I : 清浄道論における遍を用いた修行を中心としたイメージ面接のための基礎的研究(佐久間章先生・永田幹夫先生退職記念)

概要

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仏教経典におけるイメージの記述やその心身への影響に対する記述を,現在見ることのできる資料から拾いだす事はさほど困難なことではない。しかし一歩その経典の中に踏み込んで,仏教経典に特有な修辞や用語の意味する正確な内容を押さえようとすると,いく通りもの解釈や説明に出会い困惑をおぼえることが幾度となく生じて来る。今回も,こうした試行錯誤を重ねた末に,ようやく清浄道論の定に関する入口の形がおぼろげな姿で見えて来たように思われる。この様な形で眺めることのできた見取図を基礎にして,今回は,その修行の効果に関する実験的な調査を試みた。本論の実験編では,一般の大学生を被験者として集団場面において「地遍」と呼ばれる刺激図形の観察を行った。その中で,残像やゲシュタルトの崩壊などの知覚の変容現象が観察され,また,この様な知覚の変容現象の主観的なとらえ方は,事前に与えられた教示の違いによって若干の差異がうかがわれた。特に,この図形の観察という作業が「南方の仏教徒が行う修行の一つである」と教示されたB群では,知覚の変容の詳細にわたる報告や目の前の刺激図形を離れたイメージの展開が,「知覚実験を行う」との教示が与えられたA群より,より多く観察され,教示の内容の差が,被験者自身にとって非日常的な知覚の変容現象の体験を,より受け入れやすいものにしたのではないかと予想される。この様な結果は,心理学の実験的研究の場面で,宗教および,宗教的瞑想などを研究の対象とする場合の方法論に,示唆を与える結果を示しているのではないかと思われる。
駒澤大学の論文

仏教におけるイメージの研究I : 清浄道論における遍を用いた修行を中心としたイメージ面接のための基礎的研究(佐久間章先生・永田幹夫先生退職記念)

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