「静けさを聴く」ことをテーマにした参加型音楽コンサートづくりの試み : 教員養成における芸術教科と障害児教育の「融合カリキュラム」その2
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概要
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本稿は、障害児教育と芸術(音楽)教育の両分野の専門性の習得を目指した融合カリキュラムの実践例として「参加型音楽コンサート」づくりを取り上げ、その成果と課題について検討を行ったものである。「芸術教育普及活動諭演習I」および「障害児のための芸術教育基礎論」では、静けさを聴くための参加型音楽コンサート「静かに聴くぞう」を企画し、一つは、静寂を聴くことのできる聴覚の覚醒、二つには子どもと学生たちが共に音を探り再創造すること、を目標とした。また、その協同作業を可能にする仕組みとして、(1)サウンドスケープの取り入れ、(2)ストーリー展開の必然性から実施する子どもたちによる音作り場面の設定、(3)親しみやすいパペットの利用、を取り入れてプログラムを構成した。その結果、このコンサートにおいては、鑑賞者の主体的な音楽活動を促し、演奏者と鑑賞者が単に相互交流するだけでなく、音楽の「協同創造」への萌芽を明確に見い出すことができた。さらに、これらの活動を通して学生たち自身が音楽を聴くことの意味や障害のある子どもたちへの対応について思考を深め、実践的指導力の育成につながることを指摘した。
著者
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