中間子多核子吸収の研究 : 最近の動向
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概要
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原子核内でのπ中間子の2核子による直接吸収が発見されてから40年になろうとしている。70年代の中間子工場の建設後精力的な研究がなされて膨大な量のデータが入手されたが、詳細な部分については不明なことも多くなった。この状況を展開させたのが97年に発表されたKEKでの我々の研究と、同じ年に発表されたスイスのSINでの仕事である。軽い原子核でさえ50%以上を占めると思われる2核子吸収以外の多種多様な過程のなかで、始状態相互作用と終状態相互作用による寄与を分離して評価できることが示された。これを契機にπ中間子吸収の研究は多粒子同時計測へと移っていくことになった。90年からのLAMPFでのBGOボールや96年からのPSIでのLADSグループの一連の研究が主なプロジェクトである。これらの計画の目的は上記の二段階過程を多核子を直接測定することにより確認することと、それ以外の新たな過程の存在を証明することであった。ここでは90年代の実験をレビューすることにより、世界の3研究所での一連の研究の結果とそこからの結論をまとめ、問題点を再検討しこの研究の進めるべき方向を追求した。
- 和歌山県立医科大学の論文
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