最重度知的障害をもつ対象者の自己選択に対する支援 : サービスに対する対象者の肯定的評価を「幸福の表情」から判断する試み
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概要
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本研究の目的は,辛島らにより客観的測定道具としての妥当性が証明された「幸福の表情」の出現回数(静止画像の枚数)を測定することで,対象者が活動を自己選択する方法を示すことである.対象者は身体障害者療護施設に入所する27歳の女性である.物を操作する活動には関心をしめさず,嬉しいという肯定的表示は乏しい.方法は6つの活動(バイブレータ,グルグル回るおもちゃをみて楽しむあそび,バネのモビール,ぬいぐるみを投げてあそぶ(1),ぬいぐるみを投げて遊ぶ(2),ぬいぐるみを投げてあそぶ(3))を提示から感情の表示までを5秒間ビデオ撮影し,PCに接続させてDV gate stillにて0.5秒間隔で静止画像とした.判断者は5名で,それぞれの判断者は1活動につき10枚の静止画像から「幸福の表情」を判断し,それらの合計枚数を6つの活動で比較した.その結果,ぬいぐるみを投げてあそぶ(3)が20枚で,他の活動と比較し「幸福の表情」の出現が有意に多く(p<0.05),対象者は他の活動と比べてぬいぐるみ(3)に対して肯定的評価を強く示し,自己選択したと判断された.
著者
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